将棋界を驚かせたバンジージャンプから早1年。既に周囲からは、糸谷哲郎八段(33)に対して、次なるビックリ動画の期待が高まっている。プロ将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」のドラフト会議に糸谷八段は、今年もリーダーとして参加。自ら早見え早指しの力を存分に発揮、さらに盤外でもチーム動画では3人でバンジージャンプやゲテモノ食いに挑戦するなど、大きな話題になった。「少し体を張り過ぎました(笑)。でも結構みんな楽しくできました」と、いい思い出になっている。今年はどうか。「怖いフリですよね…(笑)」。この周囲の期待が、指名する棋士にどんな影響が出るのか。
盤に向かって座り続け、悩ましい表情で長時間戦うという将棋のイメージから、遠くかけ離れた棋士によるバンジージャンプ。大柄かつ腰痛持ちだった糸谷八段が飛んだことで、棋士・女流棋士の間でも、動画公開当時はその話題で持ち切りになった。「飛びたいと言った人もいたようですが、金を積まれてもやらないという人もいて、結局二極化していましたね」。本人の思い以上に高まる期待に「前回はそういうのに強いメンバーが集まったので」と笑ったが、ファンサービス旺盛なタイプだけにそこは応えてくることだろう。
肝心の将棋はどうか。「普段よりも早い将棋なので、スピード感がありますよね。ただその中でも、どこで止まるのか、みなさん掴み始めていて適応されている。おそらくこの大会では前回、前々回よりも質の高い戦いになります」。持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算というフィッシャールールは、経験がなければ面食らってあわや切れ負けという将棋になるが、さすがはプロ。指し慣れてくれば、その時間に合わせた戦い方を身に着け、内容もさらに濃くなっている。「フィッシャーならではの戦いをお見せできればと思います」と、オリジナルの戦い方を練るまでになっている。
気になるメンバーだが「前回、前々回と居飛車党ばっかりだったので、振り飛車党をピックしてみたいです。チーム構成、戦法が読みやすいと、相手も対策しやすいので。今回はいろいろ読ませるチームというか、いろいろバラエティーを混ぜていきたいです」と、盤外戦でも優位に立つことを目指すという。昨年は将棋では本戦に進み、チーム動画ではMVP級の活躍。今年目指すのは盤上、盤外での二冠だ。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)