『楽しくなければテレビじゃない』のキャッチコピーで一時代を築いたフジテレビ。そんなフジテレビが最近大きな注目を浴びたのは、本業のテレビ番組ではなく“早期希望退職”だ。
【映像】ひろゆき氏「能力ない50代以上は働く場を提供しなくていい」早期希望退職は若い世代にも影響?
フジテレビは10年以上働いた50歳以上の従業員を対象に、約90億円を注ぎ込み、退職金を上乗せする形で早期退職者を募集。その金額は1人当たり1億円以上とも言われ、話題を集めた。
東京商工リサーチ情報本部情報部の二木章吉氏は「フジテレビジョンは直近決算で黒字だ。(早期希望退職の)実施は『顕著に業績が悪い』ではない。年齢構成の是正などが大きな目的の1つであるように見える」と述べる。
同社の調査によると、新型コロナ流行の影響もあり、早期希望退職者の推移は右肩上がりになっている。しかも、早期希望退職を募集する上場企業の4割が黒字だという。つまり「儲かってはいるが若返りをしたい。お金を払ってでも中高年を減らしたい」が本音だ。しかし、現実はそう簡単にはいかない。
ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は自身の公式YouTubeチャンネルで「希望退職みたいな『辞めたい人は手を挙げてください』で本当に辞めてほしい無能の人のクビは切れない。希望退職の場合、他の会社でも働ける優秀な人が応募してくる。結果として無能が残り続ける構造のままだ。大企業は今後かなりきついと思う」と指摘。
この発言の意図について、ニュース番組『ABEMA Prime』に出演したひろゆき氏は「ダメな会社、ダメになりつつある会社にしがみついている人のクビが切れない以上、(人材の)流動性は変わらない。アメリカみたいにはならないのではないかと思う」とコメント。
何かとマイナスイメージがつきまとう早期退職。就職・転職口コミサイト「ワンキャリア」取締役の北野唯我氏は「早期退職というと、日本ではネガティブなイメージが持たれるかもしれないが、きっかけを与えてくれる意味で、言葉の印象ほど悪いものではない。早期退職して、早めに会社に見切りをつけて転職活動をする。いつでも誰でも転職できる大キャリアチェンジ時代がくれば、もしかしたら日本の経済が回復するかもしれない。日本はすごく従業員を解雇しづらいので、ちょっと特殊だ」と話す。その上で、北野氏は「フジテレビの例は、ある意味、黒字だからちゃんと退職金を払える。だけど5年後とか10年後とかを考えたら、これだけ給料の高い人たちをたくさん雇っていたらその人たちにお金が払えなくなる」と分析。
「スポーツに例えるとわかりやすいが、30代のある程度ベテランが集まっているチームは、もちろんそのベテランの人が辞めたら困るが、でもその人がポジションを空けることによって、新しい若い才能が生まれてくることもある。逆にベテランの力を求めている若いチームもあるわけだ。だから、一人一人がどう思うかという点では大変なところもあるが、国全体やマクロで見ると、流動性は高い方が生産性も上がりやすい。ひろゆきさんが言う『無能が残りやすい構造』とは、昔はやはり相当あったと思う」
北野氏の説明にひろゆき氏は「今もそうだ」と指摘。「フジテレビが『辞めてくれるんだったらもう1億円あげるよ』と、無能だから1億円もらえるわけだ。本来であれば、有能で頑張っている人が『1億円をもらって頑張って働きましょう』となるべきなのに。『あなたは無能なので、どうしても辞めてください。代わりに1億円あげますから』と言う。構造としておかしくないだろうか」と疑問。「無能で辞める人に1億円をあげなきゃいけないっておかしい。でもそれが当たり前かのように語られているのがおかしい。ちゃんと頑張って有能な人に稼いでもらうべきだ」と述べた。
黒字の上場企業でも起こる早期希望退職。民間の取り組みだけではなく、国としても制度を見直す必要性がありそうだ。(『ABEMA Prime』より)
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