昨年、将棋界の大きな話題となった棋士によるバンジージャンプ。その仕掛け人、糸谷哲郎八段(33)が、今年もやってくれそうだ。プロ将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」のドラフト会議が4月2日に放送され、糸谷八段は1巡目に森内俊之九段(51)を指名したものの重複抽選で敗れ、代えて黒沢怜生六段(30)を指名。2巡目には西田拓也五段(30)を指名した。糸谷八段は棋士会の副会長、黒沢六段と西田五段は奨励会の幹事。後輩棋士たちの手本になるべき存在だが、盤外でも100%のパフォーマンスを見せる時が来たかもしれない。
将棋界の中でも、エンタメへの意識が強い糸谷八段。盤を離れたところでの活動も積極的で、将棋の普及に対する行動力は抜けたものがある。今回のドラフト会議でも、過去2会の団体戦でメンバーが固まってきていたところを、あえて狙いにも行った。イメージとは異なる形で森内九段を取り合う結果になったが、その抽選でははずれ。それでも「すごく爽やかな人格者」と評価する黒沢六段、続いて「大きな舞台は未経験ですが、練習で指してフィッシャールールの実力があると把握できた」という西田五段を指名した。
戦力としても揃ったが、何せ周囲からは前年のバンジージャンプに勝るような動画を期待する声が集まってくる。「ドラフト会議の時、自分の紹介で『またバンジーが見られるか』というのがあって、びっくりしましたよ(笑)」。もはや将棋の説明でもないのだから、無理もない。ただ、そこまで言われると悪い気もしない。「このメンバーは人望も厚いですし、許容度も高い。彼らもいろいろ、おもしろいことをやってくれると思いますよ。ただで終わる人たちではないと思うので」と、新メンバー2人の大活躍を願ってニヤリとした。
個人としては予選突破までは経験があり、次なる目標は「とりあえず決勝進出ということで」。自ら早見え早指しの能力を解き放ち、チームメイトを引っ張っていく。将棋でも、衝撃映像でもファンを魅了する。それが糸谷八段の考える完全優勝だ。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)