厚生労働省の令和3年障害者雇用状況の集計結果では、障がいを抱えながら民間企業で働く人は約59万人だった。こうしたハンディキャップを抱えながらも社会進出する人が増え続けるなか、先月、あるアプリがリリースされた。
【映像】発達障害者の苦悩...解消するためのタスク管理アプリとは
発達障害当事者のアイデアをもとに開発された、「仕事の見える化」を目的としたタスク管理アプリ「コンダクター」だ。
「発達障害の特性を持っていると、なかなかうまく働けないという現実を目にしていたので、普段からずっと課題に感じていたことを、アプリという形で実現した」
こう話すのは、アプリを開発したフェルマータ合同会社の共同代表・寺戸慎也さん。これまで、発達障害をもつ人の就労支援に携わってきたなかで、幾度となく彼らの苦悩を目の当たりにしてきたという。
転機は2019年に行われた「ハッタツソン」というイベント。健常者と発達障害の当事者がチームを組み、「社会課題を解決するための仕組みを考える」という催しで、寺戸さんは発達障害当事者とともに「コンダクター」のアイデアを発表。最優秀賞を獲得し、アプリ開発へとこぎつけた。
アプリの随所には発達障害当事者が抱えている「タスク管理の難しさ」を補うための工夫が施されている。仕事を時系列で表示したり、見通しを立てやすくしたりタスクごとに詳細を設定することでクリアしたときの達成感が得られるシステムになっている。
「1日の業務時間は、8時間くらいだと思うが、そこで具体的に業務をパズルみたいに時間内に当てはめていくような仕組みを考えている。上司としては、今部下がどういうタスクをやろうとしているのかが、視覚的に見ることができる、そのうえで作業を当てはめていくことができるような、システムを想定している」
今回、寺戸さんともにアプリ開発を行った森本貴大さんは「ビジネスシーンのみならず、日常でもアプリを活用してほしい」と期待を寄せている。
「ありふれている日常的なタスクをこなすために、ビジネスシーンのみならず、使っていただきたい。あとは教育の現場などでタスクをまとめて管理したいときに活用してもらえたらと思い、今開発を進めている」
また、タスク完了時にアニメーションをつけるなど、より楽しくアプリを使えるようなシステムも開発中だという。
アプリを通じて、誰もがより働きやすい環境づくりを。今後更にアプリのアップデートを進めていくとともに、寺戸さんは、社会の一人一人が彼らを理解し共存しながら生きていくことが大切だと訴える。
「誰もが活躍できる職場だったり、生活環境のためのアプリになるのではないかなと思っている。本当に使おうと思っている人に届いたという感じがしているので、アプリ利用者の声を取り込んでいって、良いアプリにしていきたい」
(『ABEMAヒルズ』より)
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