塩野義製薬が12日、厚生労働省に承認を申請している新型コロナの飲み薬について、動物実験で胎児の骨格形成に異常をきたす催奇形性が認められたことを公表。実用化された場合も、厚労省は妊婦への使用を推奨しない見通しだ。報道を受け、ネット上には不安の声も広がっている。
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13日の『ABEMA Prime』に出演したタレントの小椋梨央は「妊婦さんへの投与に制限がかかっている薬というのはこれだけではないと思うし、“奇形”や“異常”といった言葉が前に出てしまうことで恐怖心を煽られて、服用に対する前向きな気持ちがどうしても少なくなってしまうと思う」と話す。
「手を洗う救急医Taka」こと「こびナビ」副代表の木下喬弘医師は「この薬だから起こりやすいのかどうかはまだわからないが、既に承認済みであるメルクの薬と同様、今回の塩野義の薬については、妊娠を希望している女性や妊娠している可能性のある女性への投与はできないことが分かったということだ。また、ファイザーの薬に関してはこのような報告はないものの、やはり安全が担保されたわけではないので、慎重に投与することになると思う」と説明。
その上で木下医師は「本来、こういう話は承認申請が通ってからすべきだと思う。新薬の開発では必ず動物実験がなされていて、今回も承認申請の前にそういうことが分かったという状況だ。しかも、どの段階で投与したら効果があるということが確実に分かっているわけでもない。いずれにせよ、妊娠中に投与することができない薬は他にも無いわけではないし、例えば男性への投与も含め、この薬全体がダメだという話にはならない。
やはりリスクを正しく認識することが重要で、現時点で分かっていることは妊娠している女性に投与するとお腹の中のお子さんに影響が出る可能性があるということ以上でも以下でもない。しかし妊娠している方でない場合、他の副作用がないことが確認できれば使用できる薬になるので、待っていただければいいのではないか」と話した。
近畿大学情報学研究所所長の夏野剛氏は「こういうことを発見するために治験が行われているわけで、この段階で騒ぐ必要はないし、報道を通じて服用の仕方やリスクが広く伝わることが重要だ」とコメント。
また、作家の乙武洋匡氏は「話題がずれてしまうかもしれないと思ったので話すのを迷ったが、奇形はダメか?という話もあると思う。もちろん、病気になったり、生命に関わる話になったりするのはダメだと思うし、“骨格形成に異常をきたす可能性”というのが、どれくらい生活に不便なものになるのかは分からないが、そもそも“奇形”というのは“形が変わっている”とか、“形が珍しい”という話だ。そういう人の数が増えれば、逆に社会が便利になるのかなという思いもある」と指摘した。
木下医師は「動物実験で催奇形性が出たことが、人体にどの程度の影響を与えるかは分からない。通常、動物実験では多めの量で投与、それでも大丈夫かということをテストするが、マウスと人間は違うので、人間では何も起こらない可能性もある。逆に、マウスでは形が変わるくらいの症状や発達に問題があるくらいであったとしても、人間では流産してしまうという可能性もある。やはり現時点ではどうなるとは言いにくい」と話していた。(『ABEMA Prime』より)
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