水産業の発展をPR活動とは違った形でサポートしている施設がある。愛媛県にある南予水産研究センターでは、地域と連携し、水産養殖の生産性を向上させる研究を行っている。
「養殖技術が確立されることによって、手に入りにくい魚が手に入りやすくなるということはあると思う。私たちが育てている養殖『スマ』も、元々はごく一部の南の方の地域でしか食べられなかった魚だ。でも、それを養殖することによって、(現在では)何万という数を育てて出荷することができている。他の魚でもそういうことは可能だと思う」(愛媛大学南予水産研究センター・斎藤大樹准教授、以下同)
「スマ」の見た目は、小さなマグロ。天然モノは漁獲量も少なく、あまり市場に出回らないことから“幻の魚”と呼ばれている。また、その身の食感と脂のノリ具合から“全身トロ”とも称されることも。ただ、「養殖モノ」と聞くと、天然モノに比べて「味が落ちる」というイメージを持ってしまう人もいるのではないか。
「天然魚は、同じ海域で獲れた(サイズが)同じぐらいの魚であっても、例えば脂肪酸の組成が違っていたり、味わいが違っていたりすることが結構ある。でも養殖魚は、そういうものと比べると基本的に品質は安定しているし、脂肪量も多いことがわかってきている。スマの美味しさを突き詰めていくと、“脂質含量”がすごく重要になってくる」
「スマは脂が乗っている方が美味しい」ーー斎藤准教授の研究チームは、より美味しいスマを生み出すための研究を重ねている。
「2~3年、毎週8個体ぐらいのスマをずっと解析し続けてきて、やっとある程度データが出てきている状態。スマの脂のノリのようなものは遺伝的要因がかなり強いので、とりあえず味を全体的に底上げするために、今は脂のノリがいいスマを選んで作るようにしている」
養殖技術の向上のおかげで、美味しい上に健康にも良い魚を食べることができるようになった。愛媛県産の養殖スマは、非常に人気の高い食材となっている。今後さらに研究が進むことで、どのようなことが期待できるのだろうか。
「効率よく、高品質の魚を作れるようになるのが一番だと思う。それによって、消費者が必要な時に、必要な量の魚を供給できる。養殖している魚から卵をとり、また育てるというサイクルを繰り返すことで、その天然資源に全く影響を与えることなく養殖を行う。乱獲によって魚が減るといった状況を防げるようになる」
(『ABEMAヒルズ』より)
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