満身創痍の小さな巨人が、監督の采配とファンの期待に応えた。プロ麻雀リーグ「朝日新聞Mリーグ2021-22」ファイナルシリーズ4月26日の第2試合では、KADOKAWAサクラナイツの堀慎吾(協会)が執念の2着。セガサミーフェニックスの猛追を押し退け、チームを悲願の優勝へ導いた。
「皆さんが引くくらい打つつもり」。ファイナルシリーズ初戦で宣言した通り、以降、堀は大車輪の活躍。初戦を含めて前日までに6回登板しており、1着2回、2着1回と好成績を残していた。起家からKONAMI麻雀格闘倶楽部・滝沢和典(連盟)、渋谷ABEMAS・多井隆晴(RMU)、セガサミーフェニックス・近藤誠一(最高位戦)、堀の並びで始まった当試合の開始時点、チームは首位ながらも2位のセガサミーフェニックスとはわずか27.5ポイント差。トップを取られれば優勝をさらわれるばかりか、自身のチームがセガサミーフェニックスの着順を下回っても危険な状況下、堀は持ち前の粘り強さを遺憾なく発揮させた。
序盤は滝沢が3連続でアガった。堀は東2局2本場、リーチ・ツモ・裏ドラの4000点(+600点、供託1000点)を奪取。ラス目から抜け出すものの、自身が親の東4局1本場では近藤に倍満・1万6000点(+300点、供託1000点)をアガられてしまった。これで一気に点数を失い、2着目の近藤とは1万6600点差。まさに絶体絶命と思われたが、ここから堀の逆襲が始まった。
南2局2本場、親の多井が鳴きを重ねる中、堀は果敢にリーチ。ここで見事にアガリ牌を手繰り寄せ、リーチ・ツモ・平和・ドラ2・裏ドラの跳満・1万2000点(+600点)を成就させた。この一撃で盛り返した堀は、親の南4局1本場でタンヤオ・ツモ・赤の6000点(+300点、供託1000点)、南4局2本場でチャンタ・ドラの7700点(+600点)と連続で加点。トップを確定的なものとすると、最後は流局で試合を決めた。
「嬉しいですね」。優勝に笑顔を見せた堀は、リポーターの「今までたくさんの『嬉しいです』をいただきましたけど、何番目?」との問いには「1番ですね」と即答。痺れる最終戦を託されたことについては「大事な局面を任せてもらったんで、絶対に優勝を」と、密かに闘志を燃やしていたことを告げた。オーラス開始時、滝沢1人テンパイ、多井1人テンパイ、滝沢と多井の2人テンパイ、多井と近藤の2人テンパイ、全員ノーテンなら堀の勝利という状況だったが、流局時に優勝を信じてあえて牌を伏せてノーテン宣言できたかについては「あれは伏せることができない」と苦笑い。テンパイ時は「とにかく開けようと思ってました」とし、その結果、2回のアガリを重ねられたと振り返った。「やりました」。最終戦直前に足を負傷し、チームメイトに支えながら卓についた堀は、持病の療養を理由に戦線離脱した沢崎誠(連盟)にカメラの前で優勝を報告。「これで沢崎さんに『僕がいないんじゃ、そりゃ勝てないよ』って言われないと思うと、ホッとしてます」とも続け、リポーターを笑わせる場面もあった。
【第2試合結果】
1位 KONAMI麻雀格闘倶楽部・滝沢和典(連盟)4万100点/+60.1
2位 KADOKAWAサクラナイツ・堀慎吾(協会)3万2200点/+12.2
3位 セガサミーフェニックス・近藤誠一(最高位戦)1万9300点/▲20.7
4位 渋谷ABEMAS・多井隆晴(RMU)8400点/▲51.6
【最終成績】
1位 KADOKAWAサクラナイツ +202.0(12/12)
2位 セガサミーフェニックス +141.6(12/12)
3位 渋谷ABEMAS +54.2(12/12)
4位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 ▲58.9(12/12)
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)