石田拳智氏「ネットに情報を流すという“最終手段”もある」…いじめ被害、大人や学校は相談相手として頼りにならない?
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 政府が設置を目指す「こども家庭庁」について、「司令塔機能を発揮し関係府省庁が協力・連携し、子どもの視点に立ったいじめ防止対策が効果的に実施されるようしっかり取り組んでいく」と述べた岸田総理。

 一方、NPO法人「Protect Children」の調査によれば、いじめを受けことについて「相談した後のことが心配」と答えた小学生は42.6%(中学生は60.4%、高校生は65%)に上っており、「友達に知られた場合、逆恨みされると思う」「本当に解決してくれるか心配」と、学校や大人に対する不信感が拭えない実態が浮き彫りとなっている。

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■「新たないじめに発展してしまうケースがある」

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 9日の『ABEMA Prime』に出演した「Protect Children」の森田志歩代表は「相談を受けていると、“誰にも言わないでほしい”という子どもがいる。先生などに相談した結果、注意を受けた加害生徒に“お前、チクっただろ”と言われたり、友達からも“お前はすぐ先生にチクる”と言われたりして、新たないじめに発展してしまうケースがあるからだ」と話す。

 とはいえ、事情は複雑のようだ。

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 「相談を受けたとしても、学校の評価が下がるといったことを気にして隠す、という悪質なケースもあることは確かだ。一方で、子ども同士というのもあるし、どうしても大人の目につきにくいところで起こるものなので、相談が無ければ発見しづらく、対応が難しい。
 
 また、当該行為によって苦痛を感じた場合はいじめとする、といじめ防止対策推進法2条に定義されているので、学校としては相談を受ければ関係する生徒や他の生徒に確認をすることになる。その時に加害生徒とみられる生徒が“やりました”と認めればいいが、“やっていない”“言っていない”となると判断しづらい。加害側とされる生徒の保護者としても“やっていないのになぜ”となってしまう。

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 そして、”子どもが傷ついた”となると感情的になってしまい、悔しさが前面に出てしまうのは被害者の保護者も同様だ。例えば不登校重大事態に該当する場合、学校や教育委員会はいじめ防止対策推進法28条に基づいて調査委員会を設置することになるが、“うちの子はやられたと言っているのに、なぜ調査をしなくてはいけないのか。疑っているのか”と主張されるケースもある」。

■「ネットに情報を流すという“最終手段”もある」

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 いじめ問題についてYouTubeで発信しているeスポーツチーム「αD」代表の石田拳智氏も、先輩から受けた暴行について、訴え出ることができなかったと明かす。「16歳の時に鼻を折られた。警察へ行けば捕まえてもらうことはできる。でも、"後で復讐される"という恐怖で警察に言わなかった。そして警察も事件が起きた時は動いてくれるが、その先の心配はしてくれない。同じことは学校でも付いてくる問題だと思う」。

 その上で石田氏は「極論だが、事実であれば守ってくれる人も出てくるし、いじめられにくい環境も作れると思う。そこまで話してしまえば、もう学校に行かなくてもいい。それなら“道連れ”ではないが…」と、SNSなどで被害を訴える手段もあると話す。

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 「いじめ動画を出した後に相談が来ることもあるが、その時には“これでICレコーダーを買いなさい、証拠を残すことが大切だよ”とAmazonギフト券を渡している。そして“先生を頼った、ダメだった。警察を頼った、ダメだった。親を頼った、ダメだった、となった場合はもうTwitterに晒しちゃえ”と。相談しにくいという問題、逆恨みに遭うことを解決できる提案ではないと思うが、“死のうかなとなっている”くらいなら、“最終兵器”だと思っている。

 例えば尼崎双星高校で起きたいじめについて、僕が動画で学校名を出したことには賛否あった。それでも政治家が動いてニュースに取り上げられたのも、名前を出したからだと思う。通っている人たちが就職しにくくなるじゃないかという意見もあるが、それこそいじめと一緒だ。そんな学校なんか行く必要性ないし、それくらいのことで差別する職場なんか行かない方がいいんじゃないか」。

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 これにライターの中川淳一郎氏も「熊本県の秀岳館高校サッカー部の体罰問題も、ネットに動画がアップされたからこそ問題は明るみになったと思う」と応じた。

■「通報・相談だけでは解決しない」

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 他方、パックンは「なぜ裁判というものがあるかといえば、感情的にならず第三者が判断できるからだ。最終手段としてはあり得るかもしれないけど、不特定多数に対して前後の文脈のわからない切り取られた言葉や、加害者も含めた個人情報を流すことになる。初めからSNSを使って解決しようとするのは非常に危険なことだと思う」と懸念を示す。

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 「アメリカのいじめはもっと暴力的なので、先生に言ったら殺されると思って黙っている。万が一、加害者が退学させられたり転校させられたりしたとしても、その友達が残ることになるので怖い。僕もそういうことをよく覚えている。その意味では、通報、相談するだけでは解決しない。そもそも、いじめのない文化づくりができていない学校ではなかなか解決できないと思う」

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 また、紗倉まなは「私は小中一貫校に通っていたが、いじめは結構あった。一貫校はそのままスライドしていくので、いつまで経っても良くない雰囲気がなくならない。そんな時、私の母は“いつでも転校できるって考えていたらいいんじゃない”と声をかけてくれて、かなり気持ちが軽くなった。

 “逃げる”っていうと失敗体験みたいに思われがちだし、いじめを受けている側がどうして転校しなくちゃいけないんだ、という意見もあると思う。でも、通っている学校が全てではない、ということが大切だと思うし、いざとなったら転校するという最終手段を知っているからどうかで、心構えは変わってくるはずだ」。

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 議論を受けて森田氏は「いじめはいつでもどこでも起こりうると言っていいし、ゼロにするのは不可能に近い。しかし、起きにくい環境に変えることはできると思う。子どもたちにいじめというものを正しく理解させることが抑止にも繋がるのかなと私は思う」と話していた。(『ABEMA Prime』より)

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