「本音を言いたいときに涙が出ちゃう」…元AKB48・大和田南那が公表した「HSP」 理解促進への思い
【映像】大和田さんがHSPだと自覚したきっかけ
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 今月14日、YouTubeで自身が「HSP」であることを公表した元AKB48大和田南那さん。動画内で、これまで隠していた秘密を打ち明けた。

【映像】アイドル時代にHSPの特徴が表れていた経験

「本音を言いたいときに涙が出ちゃうところがすごく当てはまっていた」

 「HSP」とは「Highly Sensitive Person」の略で、生まれつき人一倍敏感な気質をもった人のことを指す。光や音などの刺激に敏感で疲れやすかったり、人の気持ちに振り回されやすく共感しやすかったりとさまざまな特徴があり、約5人に1人がHSPに当てはまるという。

 しかし、うつ病などの心の病とは違い「病気ではない」ことから、周囲の理解が得られないケースもあるという。そのため、HSP当事者の多くが日常生活で生きづらさを感じているとも言われている。

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――HSPを公表したきっかけは何ですか?

「元々私はHSPという気質があることを知らなかった。同じ悩みを抱えている人を元気づけられたらなと思って公表した」

 以前から自身の“敏感さ”が気になっていたという大和田さん。カフェで人の会話が気になってしょうがなかったり、光に敏感でお風呂を真っ暗にして入っていたりしたと振り返る。また、アイドル時代にHSPの特徴が表れていた経験について、次のように明かした。

「(AKB48在籍時に)『憧れの先輩を教えてください』というインタビューがあって、そのときに私は『渡辺麻友さんが好きです』という話をした。その後、『まゆゆのどこが好きですか?』と自分の意見を求められたときにすごく苦しくて、しゃべりづらくなってしまった。めちゃくちゃ泣いてしまった。今思うと(HSPの特徴が)出てたなと思う」

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 話している途中で気持ちが高ぶり、涙を流してしまうことも――。そんな大和田さんがHSPだと自覚したのは、去年の冬ごろだった。何気なく見たホームページがきっかけだったという。「自分は周りと違うのか」と初めは少し悩んだそうだが、すぐに対処法を調べるようなった。

「自己診断になってしまうが、インターネットでいろいろなサイトを見て何回も(診断を)やって、『そうなのかもしれない』と思った。HSPの人は人の目をたくさん見ているから自分の意見を言うのが苦手。『本音を言ってください』と言われると緊張してしまい、『どうしよう』というふうになる。普段から本音を言うという対処法があって、難しいと思いながらも、最近はなるべく自分の気持ちを口にするようにしている」

 HSPの存在を知ったからこそ、それを受け入れ、悩むことが少なくなったと話す大和田さん。今後はHSPの理解促進につながるような発信をしていきたいと話す。

「(HSPを)知っている人もそうでない人も、理解しあって過ごしやすい環境が作れたら、自分自身のためにも他のHSPの人のためにもいいかなと思う。ひとえにHSPといってもさまざまな人がいる。HSPの人の“あるある”や共感できる部分を発信していきたい」

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 このニュースについて、臨床心理士で明星大学心理学部准教授の藤井靖氏に話を聞いた。

――HSPはどのような症状で、どういった方がなりやすいですか?

「HSP(Highly Sensitive Person)とは、生まれつき感受性が強く、敏感な気質をもった人とされている。1990年代に心理学者のアーロン博士が提唱した概念で、診断名ではないし、病気として治療する対象ではない。いわば“性格の一つ”と言ってもいい。日本語では『環境感受性』『感覚処理感受性』などと言われるが、環境からの刺激をより強く感じたり敏感にキャッチしたりしてしまい、場合によっては苦しみを抱えている人たちのことを指す」

「HSPとは“自称”。自分がそうだと思えばそうであるということ。割合でいえば全人口の5人に1人はHSPだといわれるが、チェックリストで示される質問は「他人の気分に左右されやすいか?」「強い刺激に圧倒されやすいか?」など割と幅広く捉えられる内容であるということにも起因している。ネット上にあるものもさまざまだが、一定程度客観的な研究に基づき整理された特徴リストに当てはまるものがあれば『自分にはHSPの特性がある』と考えればよいのではないか」

――なぜ共感によって疲労を感じるのでしょうか?

「共感が深くなると、自分が体験してもいないのにあたかも自分が体験したかのような感覚になってしまう。この背景にはベースとなる遺伝子型があったり、脳の中で感情を司る扁体や島皮質という部分が活発に動きやすい方がいたりする。人が怒られているのを見て自分が怒られたかのような気持ちになってしまい、疲れてしまうということも起こる。思いやりが強い人とも言えるが、そういった機会が多かったり、時間が長くなればなるほど自分自身が苦しくなってしまうので、自分を守るための行動をとっていただく方がいいのではないか」

――HSPであると自覚した人は、日常生活でどうすればいいのでしょうか?

「個人差はあるが、人や生活状況からの刺激もあれば、光や音に対する過敏性を持っている方もいる。そういった場合はサングラスやイヤーマフなどで環境刺激を遮断したり、人と接する時間を減らしたり、付き合い方を変えたりする。ネット上でHSPであることを発信されている方も多くいるので、(症状を抱えているのは)自分だけではないと思っていただいて、信頼できる身近な周りの人とともに具体的な対処や自分と向きあっていくことを考えていくと楽になるかもしれない」

――家族やパートナーはどう接すればいいのでしょうか?

「HSPの方々には批判的な目が向けられる場合もある。その特性がない人に『甘えじゃん』『なまけでしょ』『構ってちゃんでしょ』と捉えられてしまうと、その無理解に当事者は非常に傷ついてしまう。たとえ共感できなくても『そういうことがあるのか』と受け止めていただくのがいい。アドバイスをして助けてあげられるならそれでもいいが、その方が感じている世界や感覚を受け止めてあげるだけでも意味はある」

 最後に藤井氏は、「自分ではHSPの特性だと思っていても、中には精神疾患や他の障害様の特徴が表れている場合もある。自己対処できない悩みや苦しみがあれば、医療や心理カウンセリングを求めてみるのも一つのアイデア。ただネット上を中心に『HSPは治る』『HSPの原因は〇〇』などと根拠のない言説を元に受診やプログラムへの参加を呼びかけている場合もあるので、相談先は慎重に選んでいただければ」とした。(『ABEMAヒルズ』より)

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