ある特定の食べ物を食べたり、触れたりした後にアレルギー反応があらわれる食物アレルギー。日本の多くの飲食店がこの“食物アレルギー”の表示に悩まされている。こうした課題にITの力を駆使して立ち向かう企業に話を聞いた。
食物アレルギーを引き起こすことが明らかになったもののうち、特に重篤度や症例数から7品目を特定原材料と定め、加工食品はその表示が義務づけられている。また21品目も特定原材料に準ずるものとして表示が推奨されている。その一方、飲食店ではこのアレルギー表示は義務化されていない。
アレルギー患者らを対象にしたある調査では、約4割の人が「外食時にアレルギー食品を誤って食べた」と回答。外食を満足に楽しめていないという現状がある。しかし、店舗によってはこうした対応まで手が回らないことも……。
「弊社はアレルギー対応のITサービスを飲食店向けに展開している会社です」
こう話すのは株式会社CAN EAT(キャンイート)の田ヶ原絵里代表。CAN EATでは飲食店に向け、料理のアレルギー情報をスマホひとつで管理できるサービスを提供している。
「写真撮ってもらって、そこから文字を抽出して、私たちのアレルゲン判定データベースという色んな表記の仕方に対応したアレルギー辞書があるのですが、そのアレルギー辞書をもとに、書いてある内容にどんなアレルゲンが含まれているのかというのを判断する仕組みになっています」
実際にスタッフが加工食品に記載されている原材料を撮影し、送信した。送信された写真はCAN EATのデータベースに送られ、照合される。そして、専門家によるチェックやメーカーへの問い合わせが行われ、その加工食品に含まれるアレルギー情報が表示されるという仕組みになっている。
こうして得られたデータと生鮮食品を組み合わせ、オリジナルのアレルギーリストが作成される。アレルギー表示が推奨に留まり、ラベルを見ただけでは分からない“隠れアレルギー”や人間の判断だけでは間違えやすい表記もチェックすることが出来るのが強みだという。
「ファミリーレストランとか行くとアレルギー表ってちゃんと用意してあると思うんですけど、一般の飲食店でそれを作るにはメニューの変更も早かったりしますし、そういう専門部隊もいないので大変だと思うんですね。それがスマートフォンでできるというイメージでいいかなと思います」
自身の母親の食物アレルギーがきっかけとなり、アレルギーに関する事業を立ち上げた田ヶ原代表。先ほどのサービスの他にも、結婚式や修学旅行などにおける参加者のアレルギー情報をとりまとめるサービスも展開している。ビジネスとしても「大きな可能性を秘めている」と話す。
「外食ができなかったりとか、お惣菜とかを購入しようにもなかなか原材料が確認できなくて、事故の事例も多いので『お惣菜買えない』とか。アレルギーのある家庭の方が、アレルギーがない家庭に比べて普段の食費が2万8000円低いという結果が出ていて、その約2万8000円がもし外食ができるようになったら、それだけでも5000億円くらいの市場が見込めると試算しているんですね」
また今後は、アレルギーのみならず、国籍や人種などさまざまな”食事制限”を抱える人たちに寄り添ったサービスを展開していきたいという。
「食事制限があると言われている人が世界人口の3分の1と言われている。色々な国籍・考え方の人、色々な体質の人が一緒に集まって同じテーブルを囲む。ハンデがあるから、そういう場から疎外されない、生きにくいと思わないというところが達成できたら、すごく社会的な意義も出てくるかなと思う。まずはそこの世界観を実現したいなと思っています」
(『ABEMAヒルズ』より)
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