将棋の藤井聡太王位(竜王、叡王、王将、棋聖、19)への挑戦者を決める「お〜いお茶杯王位戦挑戦者決定戦」が5月31日に行われ、豊島将之九段(32)が池永天志五段(29)を171手で破り、挑戦権を獲得した。豊島九段は2年連続の王位挑戦。昨年の七番勝負は1勝4敗で藤井王位に敗れており、いざリベンジへと向かう。大注目の七番勝負は6月28・29日に愛知県犬山市で開幕する。
5月最終日の大一番。大熱戦を制したのは豊島九段だった。初の挑戦者決定戦の舞台に立った池永五段とは初手合い。振り駒の結果、先手番は豊島九段に。戦型は互いに得意とする角換わりとなった。中盤戦では銀を強く踏み込んだところから池永五段ペースに。しかし百戦錬磨、豊島九段は冷静に対応し玉を広い方へ逃げて対応した。両者時間を削り合う一進一退の激しい攻防戦。池永五段は持ち駒を投入して迎撃態勢を整えるも、豊島九段に攻めのターンが回ると一気に形勢は逆転。リードを拡大して気鋭の池永五段を押し切った。
終局後、豊島九段は「指していても形勢判断がよくわからなかった。攻めを呼び込みすぎてしまったかもしれない。かなり危ない形になってしまい自信が無かった」と熱戦を振り返った。一方、敗れた池永五段は「注目される舞台での対局だったので熱戦になったのは良かったが、終盤に入ったあたりの折衝で間違えてしまったのかなと思う」と肩を落とした。
復位とリベンジへ、豊島九段の“熱い”夏が始まる。2021年度は藤井王位と竜王戦、叡王戦、王位戦と3つのタイトルで番勝負を展開した。昨期の王位戦は豊島竜王(当時)の先勝から4連敗で敗退。他の棋戦も合わせて16局の大熱戦を繰り広げるも、4勝12敗と大きく星を離される結果となった。豊島九段は、王位戦に初挑戦した第59期(2018年)に奪取成功。その後も翌年の第60、62期でも番勝負に登場しており、戦い方は熟知している。五冠王となった藤井王位を破って再びタイトルホルダーに肩を並べるべく、この七番勝負に懸ける思いは強い。
豊島九段は「前回は1勝しかできなかったので、もうちょっと良い戦いをできるよう、しっかり準備をして良い内容の将棋を指せるようにしたい」と話し、藤井王位との七番勝負を見据えた。
今期の七番勝負は、6月28・29日に愛知県犬山市「ホテルインディゴ犬山有楽苑」で開幕。その後、北海道札幌市(7月13・14日)、兵庫県神戸市(7月20・21日)、佐賀県嬉野市(8月15・16日)、徳島県徳島市(8月24・25日)、静岡県牧之原市(9月5・6日)、神奈川県秦野市(9月19・20)と全国各地での開催が予定されている。
(ABEMA/将棋チャンネルより)