きのう31日、岸田総理の目玉政策「新しい資本主義」の実現に向けた実行計画案が取りまとめられた。人、科学技術、スタートアップ、グリーン・デジタルの4分野を柱に、重点的な投資を行うとしている。
中でも注目したいのが「人」への投資。年末には「資産所得倍増プラン」を策定する予定となっている。このプランでは、個人の貯蓄を投資に振り向かせるため、投資を行う際の税制優遇措置などを検討している。岸田総理は先月5日、ロンドンで行った講演で「1000兆円単位の預貯金をたたき起こし、投資による資産倍増を実現する」と話していた。
5月30日には、総理が掲げる「新しい資本主義」の実現に向けて自民党の経済成長戦略本部が「1億総株主」を目指す提言を政府に申し入れていて、投資に重点を置くという。
このニュースについて、『ABEMAヒルズ』コメンテーターでBuzzFeed Japan編集長の神庭亮介氏に話を聞いた。
――岸田総理は「眠っている預貯金をたたき起こす」と話していますが、思惑通り投資は増えるのでしょうか?
「“タンス預金”で眠っている多額のお金に『働いて』もらうという大枠の考えはいい。しかし、そのために打ち出したキャッチフレーズが『一億総株主』というのは正直どうなのかなと思う部分もある。義務として『投資をしろ』と言われているように聞こえるが、実際には『投資をするといいことがあるよ』という“国民にとってメリットがある話”。伝え方で損をしている」
「節税などのメリットがあるのは確かだが、いいことばかりを伝えるのではなく、きちんとリスクも伝えなければならない。高校生の金融教育も始まったばかり。高校生に限らず大人やお年寄りも含めて、日本人の金融リテラシーを底上げしていくことが必要になってくる」
――このご時世、老後のことを考えたらなかなか踏み出せない人もいるのではないでしょうか?
「物価が上がってインフレになっているということは、モノに対して通貨の価値が目減りしているということ。加えて、円安で円の価値もどんどん低下している。『投資はリスクだ』と言われるが、実は投資をしないことのリスクもある。日本円で預貯金を持っていることは、日本経済や日本円に対して投資しているということ。『これから先、日本が衰退していくかもしれない』『雇用がどうなるかもわからない』と日本の未来を悲観しているのだとしたら、“将来が不安だからこそ投資する”という考えで、海外の株式などに投資することも選択肢になってくる。ただし、その場合でも長期の積み立て、分散投資などでリスクをヘッジすることが大切だ」
(『ABEMAヒルズ』より)
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