“上海電力”報道で北村弁護士「中国が喜ぶようなことばかり」橋下徹氏「“闇”というなら裏付けを」
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 4日のABEMANewsBAR橋下』に弁護士の北村晴男氏が生出演、先月7日のウクライナ問題に続き、今回は大阪市南港の「咲洲メガソーラー発電所」と「上海電力」に関する疑惑について徹底討論した。

【映像】橋下氏と北村晴男氏が激論 "上海電力"疑惑報道に反論

■「橋下さんの強い影響力があったのではないか」

 事業の入札をめぐる経緯に疑問を抱いているという北村弁護士は、まず次のように説明した。

“上海電力”報道で北村弁護士「中国が喜ぶようなことばかり」橋下徹氏「“闇”というなら裏付けを」
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 「これは橋下さんが市長だった頃に入札が行われたといわれている案件だ。当時、ソーラーシステムというのは必ず儲かる事業だったので、資金力があったり銀行からお金を借りたりできれば簡単に始められるということで、不動産会社など発電事業をしたことのない事業者も次から次に参入していた。

 この案件の場合、大阪市から土地を借りて発電すれば必ず買い取ってもらえる。こんなに美味しい事業はない。しかしこの案件の入札に参加したのは一事業体。情報を知っていれば多くの事業者が参加するはずなのに、なんでだろう、おかしいなと思って調べ始めた。

 通常は公開されないはずの“55万円で土地を貸す”という“予定価格”が、不思議なことに港湾局長の判断か何かで公開されていた。結果、参加した事業体は55万1円という額で落札した。

 後から客観的に見てみると、大阪市は“一般競争入札”といいながら、非常に分かりにくい形で情報を出し、それを事前に知った事業体だけが、しかも55万1円という最低ラインで入札することができたということだ。

 それから2年あまりが経って上海電力が参入してくるのだが、彼らは“大阪市でこれだけのメガソーラー事業をやっています”と全国に営業をかけ、今や数多くのメガソーラーを運営する会社になってしまった。つまり恐ろしい手続きによって彼らを太らせたのは大阪市だということだ。細かい経緯は『月刊Hanada』7月号にここに2人の方が書いているが、恐らくそれらは事実なのだろう。こんなことをして中国に日本のインフラを握られてどうするのだと。

 また、これは私がYouTubeチャンネルでも指摘していることだが、橋下さんは大阪府知事になられから中国と深い関係になっているように見える。激務の中、年に3回も中国に行っていたし、発言を聞いていても中国が泣いて喜ぶようなことを言っていた。雑誌によれば、この案件も“市長の肝いり案件だ”という話も出てきているし、橋下さの強い影響力があったのではないか。

 他方で、現大阪市長の松井さんは“副市長案件だった”と、橋下さんをかばうかのようなことを言っている。本当かな、きちんと説明された方がいいのではないかと思う」。

■「一部の人が“橋下の闇”と言ってくる」

 北村弁護士の疑問に対し、橋下氏はこう反論する。

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 「北村さんや雑誌に書いている人たちは騒いでいるが、具体的にどの業者が入ってくるのか、月55万円の賃料で土地を貸すよう案件まで市長が見られるわけではないし、本来は局長決済で済む案件だった。そして、なぜ松井さんが“副市長案件だった”と言ったかと言えば、それは僕が大阪府市政の意思決定を透明化しようと大号令をかけ、局をまたぐような案件には副市長に入ってもらってフルオープンでやってもらおうとしたからだ。今回の案件に関わる副市長会議もすべて議事録は残っていて、副市長、港湾局、環境局などで議論している。どこの企業がこの入札を落とすかなどは、当時の市長の立場としては関知せず、今になって事後的に調べて中身を知った。

 そして“肝いり案件”というのは、福島第一原発事故が起きたことを踏まえ、原発から遊休地も含め自然エネルギーを中心に引っ張っていこうというのが、国の方向性であり、大阪市の方針だったということだ。当時の、大阪市のメガソーラー事業としては、夢洲案件と咲州案件の2つがある。例えば夢洲の案件は太陽光発電を大阪全体に広めるプロジェクトにするために、パネルを設置するだけでなくノウハウも取得しないといけないからと、環境局がプロポーザル方式で入札を掛けている。ただ、ここも連合体一社だけが応札している。

 そして問題になっている咲洲の案件は、環境局ではなく、太陽光事業をメインで扱う部署ではない港湾局が担当している。この案件の特徴は、夢洲とは違い、地下鉄のトンネルを掘っているところの地上部分の、使い道のないヘタ地を貸し付けようという〝土地賃貸借契約〟だ。元々、港湾局は埋立地を作って売って儲けていて、土木関係の技術も持っているのですごい力があった一方、余分なものを作ってしまって税金を無駄遣いしるからと、僕はメスを入れようとした。

 北村さんが言っている入札案件の情報というのは公共工事についての場合の話だ。55万円の公告はやっていたし、他の案件に比べて情報を隠していたというわけではない。また、別の疑念として、2社グループのうち、一つは実態のある会社で、もう一つは新しくできた会社だったことへの指摘もあるようなので、そこの部分も説明したい。あの当時、太陽光事業については、ほとんどが事業を始めたばかりの会社だった。これは儲かるから、ということで新しく設立された会社が、いろんな太陽光事業に入札してきていたのが当時の実情。ただ、大阪市としては、まったく新しい会社は信用できないので、実態のある企業と新しい企業の連合体と賃貸借契約を結んだ。また、港湾局の咲州の事業は、土地の賃貸借契約で太陽光パネルを置くだけなので、公共工事のように過去実績は関係ない。

 そののちに、咲州の事業に上海電力が入ってきた。ただ、途中で会社が切り替わっても賃料を払い続けてくれている以上、契約を解除しなくても問題はない。だから“入札の部分がおかしいよ”と言われても、手続きに従ってやっているし、18日間の“公募期間が短いやないか”と言われても、それも他の自治体と同程度だ。一社しか入札しないこと、事業者が変わっても継続していることもこの案件だけではない。

 中国嫌いの人としては日本のインフラに入ってくるのが問題だと思うのかも知れないが、当時は排除する法律はなかった。外為法の事前審査は財務省の所管だし、経済安全保障の観点から土地利用について規制しようという法案がようやく出来たが、それもいきなり止めることはできず、調査というところまでだ。
入札の当時、ルールがない中で、大阪市の立場では止められない。

 それなのに一部の人は“橋下の闇”といきなり言ってくる。お金をもらったとか、ハニートラップにひっかかったとか、そういう情報と併せて突きつけるならばいいが…」。

■「僕はニュートラルなつもりだ」

“上海電力”報道で北村弁護士「中国が喜ぶようなことばかり」橋下徹氏「“闇”というなら裏付けを」
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 「そもそも橋下さんは府知事、そして市長になった頃、反原発を猛烈に唱えていたし、関西電力の株主総会で提案が否決されたことにも怒っていた。橋下さんの前の市長の頃は夢洲だけだったのが、咲洲でもやることになった。そして、そこで、上海電力が事業をやっている。そして“親中派のドン”と言われている二階さんを大変評価しているし、私は親中派と相当な繋がりがあるのではないのかと疑念を抱いている。靖国問題でも中国が泣いて喜ぶような主張をしているし、ウクライナ侵攻の問題にしても高市さんとの対談で“中国にお土産を渡さなくてどうするのだ”ということも言っている。外から見ていると、全て同じ方向を向いているというふうに私からは見える」。

 これに橋下氏は再反論。

 「僕はニュートラルなつもりだ。二階さんを評価したのも、紛争が起きている時こそ話ができる政治的なパイプ役が絶対に必要だからだ。ロシアとも中国とも韓国とも、ケンカをしている同士こそテーブルに着ける関係が必要だというのが、僕の政治観。ただし二階さんがいるからといって、中国に対して日本の立場が有利になるなんて思っていない。

 それから中国に足繁く通っていたというのは、僕は実利を取ったということだ。それまでは友好都市であるフランスのヴァルドワーズなどが多かった。でも、2008年頃から中国や東南アジアの経済が上向きになってきたので、そこを取り込もうと考えた。中国や東南アジアの国々の場合、行政と行政の付き合いが大事なので、アジアを中心に外遊していたのは事実だ。

中国資本が入ってくるのが嫌だと考える人は咲洲のことも不審に思うのかもしれないが、違法性がないものを排除することはできないし、一般的な他の案件と比べてどうなのかという比較をしてもらいたい。その話が“闇”だとか“不正だ”とか言うのであれば、その裏付けを出してもらいたい」。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)

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