業界内でもすっかりベテランの域に入った3人が、若手もびっくりのおもしろリアクション3連発だ。将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」の予選Dリーグ第3試合、チーム康光とチーム稲葉の対戦が7月2日に放送された。チーム康光の佐藤康光九段(52)、先崎学九段(52)、郷田真隆九段(51)の50代トリオは、平均年齢27.3歳と若いチーム稲葉の勢いに押されてスコア0-5のストレート負け。残念ながら予選敗退となったが、対局では真剣に、会議室では和気あいあいとした様子で、ファンの心をがっちりキャッチ。中でも次々におもしろいリアクションが続いたところでは「楽しそうだなぁw」「ボヤキがでかい」と笑いが巻き起こった。
日本将棋連盟の会長でもある佐藤九段を筆頭に先崎九段、郷田九段と、時代を担ってきた50代3人。若手からすれば盤を挟めば自然と背筋が伸びる面々だ。逆にチーム康光の3人は長年しのぎを削り、時には酒を酌み交わした者同士、久々に共有する時間を満喫していた。
ほどよく肩の力が抜けた場面は、いきなり第1局から訪れた。先崎九段が相手のリーダー稲葉陽八段(33)に対して優勢で終盤を迎えたところ、先崎九段の攻めに対して稲葉八段が受けの手を見せると、普段では見られない、聞かれないような場面が連発した。
郷田九段 逃げた!ひゃー!
佐藤九段 それはいかがですかね。へー。
郷田九段 え、成った?
佐藤九段 で、寄った。へー。
佐藤九段・郷田九段 ひえー。
秒単位で指し手が進み、形勢もころころ変わるような局面で、両ベテランもすっかり観戦者のようになっていた。見る分にも大変な将棋だったが、最も大変だったのが先崎九段だ。
先崎九段 うーん。
対局室に響き渡るような、大きなボヤキ、うめき声だ。難所中の難所、間違えなければ勝利が見えるのも自覚したのだろうか、少ない持ち時間ではっきりと勝ち筋が見つけられなかったことが、そのボヤキにもつながったようだ。
最終的には惜しくも勝機を逃した先崎九段が逆転負けを喫し、投了直後に稲葉八段に「馬出れば詰んでたよね」と語りかけるなど、悔やみ切れないといった様子も。ただファンからは、熱戦の健闘を称える声とともに、おもしろいシーンを生み出したチーム康光に対して「棋士はひえーと鳴く」「ひえー(将棋用語)」「楽しそうだなぁw」「先ちゃんといえばボヤキである」といった言葉も投げかけられていた。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)