Twitterトレンドにも入った、AERA dot.が配信した記事『「独身おじさん友達いない」問題が意外に深刻 「会社以外ではいつも一人ぼっち」の中年男性はどうすればいいのか』。中高年になると友達たちとの関係が疎遠になり、話し相手は会社の同僚だけ。この歳になって、どうすれば友達を作れるの?-。そんなリアルな悩みが浮き彫りになっている。
【映像】平石アナ「退職後に友だちを作れるのか?」中高年の男性が陥る孤独孤立を考える
事実、6月に発表された「高齢者社会白書」によれば、65歳以上の2割は「親しくしている友人・仲間を持っている」と感じていない。
元TBSアナウンサーで京都産業大学客員教授の吉川美代子氏は「30〜40代の頃は、学生時代からの友達たちが結婚を子育てをするようになるし、会っても話が合わなくて悩んだり、次第に疎遠になったりした。ところが65歳くらいを過ぎると、子育てが一段落して時間ができるので、下手したら30年ぶり、40年ぶりに連絡を取り合うようになった。
私は68歳だが、独身で、子どももいないので一人だ。それでも40年以上も会ってなかった同級生から“いま何してるの?元気?”と連絡があって、“じゃあ会おうか”“あの子はあそこにいるよ”と言う具合に、友達の輪が広がっている。だから孤独だと言う30代、40代ぐらいの女性には、大丈夫だよ、とアドバイスをしている。
古巣のTBSのことを考えると、仕事後に飲みに行くのも会社の仲間だし、趣味と言ったらゴルフしかなく、それも一緒に行くのは会社の人という場合、辞めたら友達がいない、という人もいた」。
リディラバ代表の安部敏樹氏は「孤独・孤立対策に関わっているが、loneliness=孤独・孤立とsolitude=孤高はいずれも主観的なものだが、意味が違う。やはり孤独・孤立を感じてしまうという場合、寿命や精神疾患にも繋がってくることもあるので、早めの対処が必要だ」と指摘する。
「これは男女によっても特徴があり、例えば東京のある区での調査によれば、男性の場合、うつ病の発症と、地域の活動への参加に有意な関連があることが分かった。一方、女性は地域活動への参加とそれは無関係であるという。つまり男性は役割を付与されればコミュニケーションが取りやすいが、ゼロから関係を作るのは非常に難しいと考えられるという。
また、多くの中高年は、自分にとって大切なものは何なのか、好きなものは何なのかについて内省を深めることが求められてこなかった。しかしそれがないとその後が大変だよ、という話だ。ただし女性の方も“専業主婦”にカウントされている人の中に、かなりのボリュームで引きこもりや、それに近い状態の人が潜在的に存在している。こちらにも孤独の問題はあると思う」。
著書に『世界一孤独な日本のオジサン』もある岡本純子氏は「誤解されがちだが、安部さんが言ったように、一人が楽しいというのはsolitudeで、いわゆる孤独ではない。自ら望んだわけではない、lonelinessが問題だ。誰かと繋がりたいのに繋がれないという状態が続けば、やはり心身に影響が出てくる。
そして男性の場合、感情を打ち明けたり、弱みを見せないことが常識のようになっているので苦手な方も多い。特に日本社会では企業の中での年功序列の問題もあって、年下の人とフラットな会話をするのはプライドが許さないみたいな人もいる。よく言われるのは、女性の“face to face”に対して、男性は“shoulder to shoulder”、つまりゲームやスポーツなど共通の趣味で協力し合うコミュニケーションだと上手く行くと言われている」との見方を示した。
近畿大学情報学研究所の夏野剛所長は、高校の同級生の繋がりや、社会人になってからできたワインなど共通の趣味を持つ人たちとの繋がりがあると話す。
「Facebookやインスタがあるおかげで、社会的な立場も全く違うワイン仲間がいる。中には若い経営者もいるが、仕事の話なんてしない。何回も勤務先が変わっているので、最初に入社した会社の同僚で、今もお付き合いしている人も何人もいる。飲むのが好きなだけで友達になれる。でも、“face to face”では確かに無理かも。話題が尽きちゃう。
もちろん、近すぎても面倒くさいから、3、4カ月に1回くらい会う友達が点々といたらいい。そして友達を作る以前に、働き方改革で労働時間は短く、有給取得は増えているので本当に趣味を見つけないと困っちゃうと思う。ゲームでも何でもいいから、何か自分が没頭できることを見つけた方がいいような気がする」。
これに対し、テレビ朝日の平石直之アナウンサーは「それは夏野さんがインフルエンサーで、ジョブホッパーで、経営者だからではないか。本当の友達なのだろうか」と訝しむ。「今は忙しいからいいけれど、会社を辞めた途端に、“あなたは必要ありません”になるというのがサラリーマンだ。“仕事上、付き合ってました”ということが分かってしまう恐れがあるし、どうやって新しく友達作ろうかという問題も出てくる。テニスの仲間、どうやって見つけようかなとなるわけだ…」。
これに吉川氏が「じゃあ平石さん、今度私と食事に行ってください」、夏野氏も「飲みに行こうよ、酒大好きだから」と言葉をかけると、平石アナウンサーは「慰めていただきありがとうございます」と苦笑していた。(『ABEMA Prime』より)
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