10日に投開票が行われた参院選で浮き彫りとなったのが、YouTubeやTikTokなどの動画メディアを通した若年層への“ネット選挙運動”の成功だ。
参政党はANNの世論調査でANNの出口調査で10代の比例投票先として5番手、20代でも6番手に付けている一方、神谷宗幣事務局長は「党独自でやっているわけではないが、TikTokで党員や支持されている方々、若者が拡散してくれて、何十万再生になっていた」と話している。
テレビ朝日の平石直之アナウンサーは「TwitterやFacebookは自分がフォローしている人や、関連する投稿しか上がってこないが、TikTokは自分の知らないものがどんどん上がってくるところが特徴だ。無党派層に働きかけて、“こんな党があるのか、面白いかも”と思ってもらうのにちょうどいいのかもしれない」と指摘。
パックンは「サウンドバイト(短い言葉、断片的な言葉)中心の政治になることを心配している。アメリカを見てほしい。そうなってはいけない」、茂木氏は「TikTokのアルゴリズムによって、日本の選挙結果が操作できてしまうということにもならないか」と懸念する。
JX通信社のデータアナリスト・衛藤健氏は「2013年にネット選挙が解禁され、Twitterがベースだったものが2019年の参院選ではNHK党とれいわが新選組がYouTubeを使ったネット選挙を展開した。そして今回の参院選ではTikTokが新たなネット選挙の形を作っていった」と話す。
「私もTikTokをよく見るが、K-POPが流れていたところに参政党の動画が流れてきたということが実際にあった。そこで短く切り取られた動画を見た若者たちが“この人はこういうことを言っている”、“この人は信頼に値しそうだ”という判断をしているということだろう。影響力はかなり大きかったのだろうという肌感覚がある。ただし、それが不正確な情報だったとしても好感を持ってしまい投票することもあり得ると思う。
また、当社の調査によれば、無党派層の投票先で既存の野党と同じくらい参政党が取っていたというデータもある。TikTok、YouTubeのアルゴリズムをいじることで無党派層を掘り起こし、投票を操作するみたいなことも理論的には可能になるかもしれない。有権者が他の情報源と組み合わせて判断したり、政策や政策の根拠になっているものを見極めていったりすることが求められる」。
元経産官僚の宇佐美典也は「言いっぱなしになってしまいがちな短い動画を監視することが大切だと思う。たとえば日米合同委員会が全ての日本の政策を決めているとんだといった言説が広がっているのはおかしいし、検証する場をメディアが用意することが必要だ。ただ、討論会に全政党を招くような地上波的なやり方は向いていない。一政党ずつ呼んで議論を詰めていくみたいなものをメインにし、動画も切り取ってもいいというシステムにしないと、民主主義の危機がやってくるのではないか」と警鐘を鳴らした。(『ABEMA Prime』より)
■Pick Up
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・ネットニュース界で話題「ABEMA NEWSチャンネル」番組制作の裏側