10日に投開票が行われた参院選。中でも、SNSを中心に注目を集めたのが「参政党」だ。
ANNなどの出口調査で、10代の比例投票先として5番手、20代でも6番手に付けた参政党。多くの若者がこの党に投票した現象をどのように考えるか。ニュース番組「ABEMA Prime」では、神谷宗幣副代表兼事務局長をゲストに招き、議論を行った。
【映像】ワクチンやマスクは要らない? “ノーマスク”で演説を聴く支持者も(実際の現場)
そもそも具体的に何を重点に置いて結党したのだろうか。神谷氏は「“投票したい党がないからゼロから作る”がキャッチコピーだった」と話す。
「私も自民党などに所属していた経験があるが、自民党はさまざまな業界団体から応援されているので、支援者の顔が見えるわけだ。そうなると、その方々に忖度しながら喋らないといけない。言いたいことが言えない現実があった。お亡くなりになった安倍晋三さんに声をかけていただいて、自民党に入って日本を取り戻すという言葉に惹かれて日本の自主権をしっかり取り戻したい思いでいたが、実際に8年間の安倍政権のなかで、安倍さんの思いとは別だが、日本の主権が取り戻せたのかというと、そうではない。やっぱり世の中の既得権や利権構造には物が言えないなと思った。そういったものに気を使いながら政治をやっていると言いたいことも言えないし、やりたいこともできない。ならば、改めてそういったものから一切、切り離されたゼロベースの政党を国民主体で作って、一切忖度なく自分たちが思うことを言えるような政党にしようと思って、参政党を作った」
参政党が打ち出しているコロナ公約の大きな特徴が「マスク着用の自由化」「PCR検査の原則廃止」「行動制限の撤廃」「緊急事態条項に反対」だ。また、新型コロナ感染症について、感染症指定分類を現在の2類から、5類以下への引き下げを訴えている。
番組司会のテレビ朝日・平石直之アナウンサーが「参政党の候補者・幹部らが演説する際は、現地にたくさんの支援者が集まってくるが、多くの人がマスクをしていない。どのようなスタンスで、どちらかというと『マスクはいらない』『ワクチンも打たなくてもいい』とおっしゃっているのか」と質問。
神谷氏は「僕たちはそれを主たる政策としていない」とした上で、党の代表に就任した元衆議院議員の松田学氏に言及。
「代表になられた松田学さんが科学者やお医者さんの方を呼ばれて、いろいろお話をされて、僕もそれをずっと聞いていた。今の政府には合理性がないと。ワクチンに関しては、私たちがずっと言い続けていたのは大人の打つ・打たないは任意だと。それは政府の情報にも書いてあるので、任意性をしっかり担保してもらわないと困る。あとワクチンがそもそも重症化の予防に繋がるのだということだったので、重症化するリスクが少ない若者、若い世代や子どもたちはワクチンを打つ必要はないだろうと、強く訴えてきたわけだ。それに対して、やっぱり現場では同調圧力で悲しい思いをされている人がいて、ワクチン打って後遺症で悩まれている人と現にお会いしている。そういった方々の声は、やっぱりどこかの政党が代弁しないといけない。これを言うと、反ワクチン、陰謀論など、いろいろ言われると分かったうえで、でも誰かが受け皿にならないと民意が反映されない。それを僕たちは2年間ずっと言い続けてきた。別に選挙政策として掲げているわけではない」
また、地元が同じだと明かす慶応義塾大学・特任准教授の若新雄純氏が「(支援者の)熱狂に関しては、たまたま起きたのか?」と聞くと、神谷氏は「科学的ではないことを言って熱狂を起こそうとはまったく思っていない。むしろワクチンにしてもマスクにしても、科学的にやればやるほど今の政府の政策はおかしいと、みんな気づくだろうと思っている。別にこれは熱狂を起こそうと思って言っているのではない。熱狂は、少数政党には大事だが、熱狂を起こすためにマスクのことを利用しようとは、まったく僕らは思っていない。ただ、今すごく熱が上がっているのは確かで、今日の時点で、約9万4000人の党員がいる。その方々の熱が冷めないうちに、組織づくりをきちんとやらないといけないと思っている。参政党が飛躍したのはYouTubeやネットの力もあるが、やっぱり党員の皆さんの熱心さが、党勢拡大の一番の要因になっている。その熱を下げないようにやっていかないと、我々のような小さい政党は次に続いていかない」と答えた。
ここで、ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏が「確かに、神谷さんが言っていることは科学的には正しい。子どもや若い人は(ワクチンを)打たなくてもいいよねと。ただ、ワクチンが普及する前は、高齢者は新型コロナに感染すると、数%が亡くなっていた。高齢者に関しては『ワクチンを打った方がいい』と神谷さんは思うか」と質問。神谷氏は「高齢者や疾患があって、自分で『リスクが高いな』と思う人は打ったらいいと思う」と答えた。
神谷氏によると、ワクチンは「全員に反対」なのではなく、「打つべき人と打たない人をわけよう」というスタンスだという。実際に参政党が、重点政策として挙げているのは「子どもの教育」「食と健康、環境保全」「国のまもり」の3つだ。
「食と健康、環境保全」では、農薬などの化学的な物質に依存しない食と医療の実現とそれを支える循環型の環境の追求を提言している。ひろゆき氏は「肥料を使わないと収穫量がかなり減る。僕は最初、食の政策について、アホを騙しているのか、神谷さんがアホなのかどっちかを聞いたが、このタイミングで答えられるかなと思う。僕は神谷さんを騙す方向の人なんだと思っているがどうか」と投げかけ。
神谷氏は「僕は騙すつもりはない。僕自身も農業をやっているので、ひろゆきさんがおっしゃることも分かるが、ひろゆきさんは農業をやっていらっしゃらなくて、経験がない。確かに農薬肥料を使った方が収量は上がる。しかし、昔は農薬肥料や化学肥料を使っていなかった。昔はずっと自然の中で農業をやっていた。今まで農薬肥料を使っていたところが、急に使えなくなると最初はガクンと落ちる。でも、土を育てていって、中の微生物をしっかり育てていくと、それが栄養を運んでくる。収量がものによっては、慣行栽培より上がるものもあるし、下がるものもある。農業を20年以上やられている方々と私は親交があって、そういう現場を見て自分たちでも自然栽培でやっている。決して、極端に収量が落ちるということはない。土の状態によるものだ」と説明。
ひろゆき氏は「僕は神谷さんはけっこう頭がいい人だと思っている」とした上で、「農業に関していくと、僕も別に専門家ではないので、じゃあ一般の国民が納得できるようなデータというのをいつ頃までに出してもらえるのか。それが言えたら僕もそうなんだと思えるので」と要求。神谷氏は「分かった。そういうご指摘をいただいたので、ちょっと準備してもらうように相談する」と答えた。
また、番組の中で、神谷氏が「小麦から米食に変えたほうがいいと我々はずっと訴えている。小麦は国内であまり収穫できないので、輸入する。輸入しているものは遺伝子組み換えだったり、何が入っているか分からないものを買わされている」と話すと、ひろゆき氏は「僕は日本人が好きなものを食べればいいと思う」と反論。「多くの人が自分の好きな物を買って食べられることの結果が、今の日本の食料自給率だ。なので、わざわざおいしいワインを外国から仕入れないで、日本のクソまずくて高いワインを飲みたいという人ばかりになって、食料自給率が高くなるというのは、それは幸せではないんじゃないかなと思う。神谷さんは頭がいい人だから、ちゃんと修正をしていくと思うので、今後が楽しみだ」とエールを送った。(「ABEMA Prime」より)
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