災害時に避難所となる学校などで活用するため、整備が進む「防災井戸」。横浜市のある小学校で子どもたちがクラウドファンディングを活用し、“地域のため”の防災井戸を設置を実現させた。
防災井戸の設置状況は自治体によりまちまちで、予算面から進んでいない地区もある。そんな中、横浜市の師岡小学校は今年、創立50周年を迎えたことをきっかけに防災井戸の設置を実現させた。
子どもたちは総合学習の時間を使い、「記念に何か出来ないか」を議論。最初に出た意見は、ゴミ拾いや石鹸作りなどだったという。ただ、長い目で見た時に本当に地域の役に立つには何をしたらよいのか。地域の人にヒアリングを行ったところ災害時の水に困るということがわかった。
その後、子どもたちは一人一台支給されているタブレットを使い、井戸の会社を調べた。校庭に「井戸」を掘るという大胆な計画――。地元で井戸を掘れる会社を見つけ、出前授業で周辺の地下水についていろいろ教えてもらったという。
果たして、井戸を掘ることはできるのか。子どもたちからこの件を受けた、川村校長は「頭の中でいろいろな許可を取らなきゃいけないとまず頭に浮かんだので、私の長年の経験の中で『それは難しいな』と思いました」と話す。
ハードルは費用面にも及び、井戸を掘るのにかかるお金は総額200万円――。そんな時、男子児童から「クラウドファンディングはどうだろう」と提案があったという。
クラウドファンディングを提案した児童に話を聞いてみると、「インターネット上だといろんな人がやっているので、資金が集まるかと思って提案してみました」と教えてくれた。
子どもたちは手元のタブレットで、クラウドファンディングについて調べ始めた。当時の様子について、松山先生は「全国各地の小学校でクラウドファンディングで寄付を集めているプロジェクトが出てきたんですね。それをみんなで調べていきました」と話す。
一方、川村校長は「本当のことを言うと『絶対無理だ』と思いました。学校の中でそのようなことをやるのは、『絶対に無理だ』と感じました。だって、本当にそうだったんだもん。学校にクラウドファンディングはそぐわないと思っちゃったんですよね」と不安があったことを明かした。
校長先生の心配をよそに、PTAや地元の人たちの力を借りて、クラウドファンディングは開始。プロジェクトの開始に子どもたちは両手でガッツポーズをし、喜んでいたという。
そして始まったクラウドファンディング。自分たちの思いを届けようと、子どもたちも自ら動画でアピールした。すると、あっという間に目標額である50万円を達成。子どもたちの気持ちが多くの大人を動かし、目標額を達成した後も125万円余りを集めることが出来た。
“地域のために”という子どもたちの思いがきっかけで始まった防災井戸づくり。後押ししてあげたい大人たちの協力もあり、ついに実現した。
川村校長は「子どもたちは諦めずに、地域の方たちに『井戸があったらこんなにいい』『こんなに便利』『こんなふうにしたら井戸が作れそう』とどんどん推し進めていってくれました。長く小学校の先生をしていますが、子どもたちの力でこんな大きなことができるんだなと本当にびっくりしているし、感動しました」と子どもたちを称賛した。
また、地域の人からは「災害があった時は私たち消防団もどんどん使わせていただくもんで、本当にありがとうございました。一生の宝物になりましたね」「地域に密着した役に立つ井戸を掘ると発案されたことは、まことに素晴らしいことだと思います」と感謝の言葉が寄せられた。
防災井戸の完成に、子どもたちは「皆様のご協力がなかったら、この井戸は完成しなかったと思います。でも、僕たちの目標は“地域の人たちの役に立ちたい”という目標なので、まだ達成はしていません。これからもご協力よろしくおねがいします」と話した。
防災井戸の存在を多くの人に知ってもらい、活用されることが“地域への貢献”となる。子どもたちは今後も井戸の使い道を広めていきたいとしている。(『ABEMAヒルズ』より)
■Pick Up
・キー局全落ち!“下剋上“西澤由夏アナの「意外すぎる人生」
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・「ABEMA NEWSチャンネル」知られざる番組制作の舞台裏