将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」の本戦トーナメント2回戦第2試合、チーム稲葉とエントリーチームの対戦が8月20日に生放送された。チーム稲葉の先勝で迎えた第2局。チーム稲葉からは前局に続き出口若武六段(27)が出場し、チームエントリーの冨田誠也四段(26)を破って連勝とリードを広げた。
奨励会入りが2007年9月と同期の両者。出口六段は、同じ井上慶太九段(58)門下で兄弟子でリーダーの稲葉八段から「いいですか!?」とのやや強引な指令で連投が決まった。「体が熱くなってきた。これが良い方向に行けば」と対局前からジャケットオフで闘志をみなぎらせていた。2回戦初出場の冨田四段は「昔からよく知っている仲。手が見えている方なので強敵」と警戒心を深めていた。
先手の出口六段は急戦調、冨田四段は四間飛車の出だしに。互いに早いペースで指し進め、終盤に向けて持ち時間を蓄えた。冨田四段は、先手の薄い囲いに狙いを定めて攻撃を開始。出口六段は▲7七銀から陣形を引き締め、解説の上村亘五段(35)を「受けが上手いですね」と唸らせた。寄せ合いの勝負から、逆転に次ぐ逆転の大熱戦に。最後は妙読みのたたき合いから先手玉が上部に抜け出し、出口六段がしのぎ切って勝利を飾った。
連勝を飾った出口六段だが、「チーム戦なので先に2勝取れたのは大きい。予想しない仕掛けで厳しい戦いになった。内容があまり良くなかったのでしっかり反省したい」と冷静だった。勝機を逃し手痛い黒星を喫した冨田四段は「大やらかしですね。チームメイトに申し訳ないです。手が見えてなさ過ぎてピンチです」と悔しそうな表情を見せていた。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)