将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」の本戦トーナメントの決勝、チーム稲葉とチーム斎藤の対戦が9月24日に生放送された。チーム稲葉がスコア4-1で迎えた第6局は稲葉陽八段(34)が斎藤慎太郎八段(29)とのリーダー対決を制した。これによりスコア5-1でチーム稲葉の勝利と優勝が決定。勢いに乗ると怖いと言われた関西三人衆が、戦うごとに強さを発揮し頂点まで駆け上がった。
【中継】第5回ABEMAトーナメント 本戦トーナメント 決勝戦 チーム稲葉VSチーム斎藤
最後を締めたのはリーダー稲葉八段だった。両者ともに関西所属で、研究会でも何局も指してきた間柄。各棋戦でもトップクラスでしのぎを削るリーダー同士の対決だったが、この一局に関して言えば、稲葉八段の会心譜だった。
後手番から角換わりで始まった一局で、斎藤八段が早繰り銀を選択する中、稲葉八段は右玉を採用。中盤から一気に戦いが激化すると、1三の地点に打った遠見の角が威力十分。優勢になってから打ち込んだ6九角との連携も絶品で、堅陣と見られた先手陣を瞬時に崩壊させると、最後は一手一手の寄せで優勝を決めるにふさわしい勝利を収めた。解説を務めた森内俊之九段(51)も「斎藤さんのペースと思った局面もありましたが、1三角からうまく大駒を使って、いつの間にか抜け出した。またしてもマジックのような手順で見事でした」と絶賛した。
優勝を決めた稲葉八段は「ある程度研究していた形でした。誤算があったんですが、時間もあったので。服部さんが大活躍してくれて、出口さんは負けてかなりしょんぼりしていたんですが、ここで負けると一気に危ないことになるかなと思ったので、なんとか勝ててよかったです」と、掴んだ流れを渡さないオーダー決めも冴えての優勝となった。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)