京都大学の研究グループは、話し相手が笑った際、場面に応じて笑い返すことができる「会話ロボット」の機能を開発。約80ケースの「初対面の会話」を分析し、ロボットが相手に同調して笑うか笑わないか、などのモデルを構築した。
これまでも「笑うロボット」は開発されていたが、相手の振る舞いに応じて笑うことができるロボットの機能の実現は『エリカ』が世界で初めてだという。
顔の作りや話し方、更には愛想笑い。技術の進歩で、より人間らしいロボットが作られる一方、リアルすぎるがゆえに、不気味さを抱く人も……。実はその感情にはある名前が付けられている。
「『不気味の谷』というのが、言われているんですけれども」
こう話すのは、『エリカ』の研究・開発に携わった京都大学大学院の井上助教。不気味の谷とは、ロボット工学者の森政弘氏が初めて提唱した、「人間によく似たロボットに対する人間の感情」を可視化したもの。
ロボットなどの機械の形を人間の姿に近づけていくと、徐々に親近感が高まっていくが、外見や動作が、人間にかなり似てきた段階で急激に不気味さが生まれる。しかし、人間と見分けがつかないレベルになると再び親近感が増加。この間にできた凹みを、『不気味の谷』と呼ぶ。
人によって、感じる「谷」のラインは様々だが、今回作られた「エリカ」もまた、谷の中にいるそう。
「人間らしい振る舞いをたくさん作って、人間らしくを目指しています。でも、『ちょっと違うかもしれない』というときに、その理由が分からない。もしかしてそこが不気味なものという印象を受けるのかなと思います」
しかし、不気味さを覚えるリアルなロボットではなく、人間が少し親しみを感じる”普通のロボット”でもいいのではないかとの疑問もわく。これに対し、井上助教は、リアルな人間型のロボットがこの”不気味の谷”を超えることが、今後訪れる「人間とロボットが共生する社会」の実現につながると話す。
「人間が、相手がどういうときに笑うものかと考えると、エリカさんのような、まさに人間そっくりの人だったら笑ってくれるかなと。未来の社会の姿の1つは、ロボットと共生していくというところです。そのときにできるだけ自然な形で、ロボットとも関係性を構築して、友達や家族のように、関係性を持ってやり取りしていける、付き合っていけるようなものが大事だと考えています」
今後、介護現場などでの活用が期待されているというエリカ。「共感できるスキル」の開発など更に改良を加え、”不気味の谷”を超えたいと井上助教は意気込む。
「私たちとしては、谷の底からちょっとずつ上りかけていけているのかなという手応え・感触はあります。まだまだ改善の余地はあるかなと」
(『ABEMAヒルズ』より)
■Pick Up
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・ネットニュース界で話題「ABEMA NEWSチャンネル」番組制作の裏側