永瀬拓矢王座、4連覇達成 豊島将之九段の挑戦を3勝1敗で退ける 名誉王座資格獲得まであと1期に/将棋・王座戦五番勝負
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 将棋の第70期王座戦五番勝負第4局が10月4日、神奈川県秦野市の「元湯 屋」で行われ、永瀬拓矢王座(30)が豊島将之九段(32)に勝利、シリーズ成績3勝1敗で同タイトルの防衛4連覇を果たした。豊島九段は2014年以来2度目の挑戦で奪取を目指したが、初獲得は叶わなかった。

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 2020年第5期叡王戦七番勝負以来のタイトル戦での激突となった両者。シリーズは、第2局の千日手局を含む全5局が角換わりの戦型選択となった。ハイスピードな進行も大きな話題を呼び、互いの研究の深さを印象付けるものとなった。永瀬王座は開幕局こそ落としたものの、確実にプレッシャーを与え続ける「負けない将棋」を貫き、第2局から3連勝を飾った。

 本局も、対局開始時からスピーディーに指し進められた。千日手含みの進行を先手の豊島九段が打開し、積極的に仕掛けて激しい展開に。じりじりとした中盤戦から、ペースを握ったのは永瀬王座だった。得意な展開へと持ち込み、豊島九段の指し手を次々交していった。後手は入玉を目指し着実にポイントを重ねて、最後は豊島九段の渾身の粘りを突き放して勝利を掴んだ。 

 終局後、永瀬王座は「自信がないと思いながら指していた。網が破れるとすぐにダメになってしまうので、神経を使って厳しい時間が長いと感じていた。入玉が確定してきて持ち歩がたくさんあるので相入玉が難しいと思い、その辺りまで来てやっと勝ちになったかなと思った」とコメントした。

 この結果、永瀬王座は同タイトル4連覇を飾り、連続5期、または通算10期獲得で達成となる永世称号の名誉王座にあと1期と近づいた。シリーズを振り返り、「1局目がかなり準備不足で厳しいシリーズなると思っていたが、2局目以降は苦しくなってからも頑張れることがあったので、徐々に好転したのかなと思う」と安堵の表情を浮かべていた。これまでに名誉王座獲得者は中原誠十六世名人(75)と羽生善治九段(52)の2人。早くも来期の五番勝負に期待が高まっている。

 一方、豊島九段は8期ぶり2度目の王座挑戦も、初奪取には至らなかった。終局後には、「仕掛けが無理気味だったか。基本的には苦しい時間が長い将棋だった」と話した。夏季に開催された王位戦七番勝負に続き、秋からは本シリーズと2つのタイトル戦を挑戦者として戦ったが、いずれも退けられる結果に。「だんだん内容が悪くなってしまった。第2局は後で調べたらいろいろな筋があったが、自玉に手を戻した時にどれくらい安全になっているかが分からなかったので、あの将棋が痛かった。もうちょっと良い将棋を指したかったが、実力不足だったかなと思う。また実力を付けていきたい」と振り返った。再びタイトルホルダーへの返り咲きを目指し、今後も戦いの日々は続く。

ABEMA/将棋チャンネルより)

【中継】第70期 王座戦 五番勝負 第四局 永瀬拓矢王座 対 豊島将之九段
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