広瀬章人八段「私自身も驚いています」藤井聡太竜王のお株を奪う“広瀬曲線”描く快勝に「ほぼ九段」「8.991段」の声/将棋・竜王戦七番勝負第1局
【映像】ABEMAでみる

 将棋の第35期竜王戦七番勝負第1局が10月7・8日の両日、東京都渋谷区の「セルリアンタワー能楽堂」で行われ、挑戦者の広瀬章人八段(35)が藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、20)に107手で先勝を飾った。将棋ソフト(AI)で形勢を示す折れ線グラフが緩やかに勝利を示す方に傾いていく様を表現した“藤井曲線”さながらの美しい勝利曲線に、ファンからは「広瀬曲線だ」の声が上がった。

【動画】快勝の一局を振り返る広瀬章人八段

 将棋界最高峰タイトル竜王位を争う七番勝負。本シリーズでは若き絶対王者・藤井竜王に、4期ぶりの奪還を目指す広瀬八段の激突となった。振り駒の結果、先手番は挑戦者に。「角換わり腰掛け銀」の出だしから激戦へと展開すると、後手に強く踏み込みペースを握った。その後も手厚い指し回しで着実にポイントを重ねていく。藤井竜王に一度も優位に立たせることなくリードを拡大。藤井竜王が「勝負する順を見いだせなかった。中盤で苦しくなってしまって、際どい勝負に持ち込むことができなかった」と話した通り、広瀬八段が深い事前研究を実らせて先勝をもぎ取った。

 終局後には、広瀬八段がABEMAの勝者インタビューに登場。激闘の疲労をわずかに漂わせながらも、いつも通り軽やかな“広瀬調”で応じた。「悪い局面が無かったと思うので、開幕局としては上出来の内容。想定していた局面になった訳ではないが、自分自身のコンディションを良く整えることができた。直線で勝てればいいんですけど、それだけでは上手くいかないことが多いので、全体のバランスを考えながら指し手を選択していた。(88手目、馬の頭に)飛車を回るのは読み筋で、自分の読みの中ではギリギリ大丈夫と見ていた。その読み筋が正しくてよかった」。

 10月開催の渋谷対局の名物ともなっている可愛らしいスイーツにも言及。ハロウィンのかぼちゃやオバケがデコレーションされたチーズケーキ、モンスターを模した紫芋モンブランなどを注文しており、「せっかくなので頂きました。かわいいチョコを食べるのはもったいなかったですが、美味しくいただきました」と、フフっと笑みをこぼしていた。

 ファンが最も沸いたのは、視聴者へのコメント部分だった。声援と長時間視聴への感謝を伝えるとともに、「皆さんも驚いているかと思いますが、私自身もこの勝利に驚いています」と発言。視聴者からは「そんなことないよ、素晴らしい棋譜でした」「驚いてないよー」「広瀬最強説」「ほぼ九段」「8.991段」「驚くどころか完勝」「元竜王は違うな」と多くのコメントが寄せられていた。

 開幕前には、「いつか、藤井さんが負けること(失冠)もある。その相手が自分になればいいなと思っています」と静かに闘志を燃やしていた広瀬八段。勝利に向かって美しい弧を描いた広瀬曲線は、想像を絶するほどの膨大な研究によって支えられたものだ。先は長い七番勝負。“いつか”、を解く鍵はその手に握られている。

(ABEMA/将棋チャンネルより)

【動画】快勝の一局を振り返る広瀬章人八段
【動画】快勝の一局を振り返る広瀬章人八段
【動画】“広瀬曲線” 広瀬八段が勝利を引き寄せた局面
【動画】“広瀬曲線” 広瀬八段が勝利を引き寄せた局面
挑戦者・広瀬章人八段が藤井聡太竜王に快勝 4期ぶり“返り咲き”へ好発進/将棋・竜王戦七番勝負第1局