菅井竜也八段が語る里見香奈女流五冠の「すごいところ」谷川浩司十七世名人らとの研究会で見せた強さの秘訣
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 将棋の里見香奈女流五冠(30)が挑む棋士編入試験五番勝負第3局が10月13日、大阪市の「関西将棋会館」で指される。第1局は徳田拳士四段(24)、第2局は岡部怜央四段(23)に敗れてカド番に。残り3戦3勝を目指し、第3局では狩山幹生四段(20)を試験官に戦う。史上初の女性棋士誕生なるか、注目の本試験。里見女流五冠と研究会を行う菅井竜也八段(30)ら“仲間”がその努力の足跡を明かした。

【動画】菅井八段が語る里見女流五冠の「すごいところ」

 「応援してるみたいだけど、明らかに応援してますよ。里見さんを」。棋士編入第2局、ABEMAの中継に出演した菅井八段はきっぱりと言い切った。同年代の両者が初めて会ったのは2003年3月に行われた小学生名人戦。「自分が小学4年生で、里見さんが5年生。里見さんはすでに有名人で、初めて会ったというか、初めて“見た”という感じでした。その時も中飛車を得意にされていましたね」と当時の印象を語っていた。

 以来、共に研さんを積み、互いにプロ入り。約20年来、里見女流五冠の努力の足跡を見てきた菅井八段は、「里見さんは“実戦的には”という感覚が無いと思うんですよね。“勝ちやすい、勝ちにくい”という判断能力が低いけど、それを補えるくらい違う部分を強化してる。一個一個の(手を)読んで読んで選んでいる、というイメージです。一生懸命、経験値で何とかしてくる。めちゃくちゃ勉強してると思う」と続けた。

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 現在、里見女流五冠は菅井八段、谷川浩司十七世名人(60)、畠山鎮八段(53)の研究会に参加している。タイトル通算27期の永世名人、元王位で現A級棋士と百戦錬磨の経験を持つトップ棋士らとの研究会は、何よりも大切な時間となっていることは間違いない。

 しかし、里見女流五冠は年間を通して公式戦と女流棋戦と戦い、さらにタイトル戦で全国を飛び回るハードスケジュールをこなしている。菅井八段は、「里見さんは研究会の前日が自分のタイトル戦だったとしても、遅刻せず参加する。どんなに疲れていても、必ず事前に準備して“今日のテーマ”を持ってくるところがすごいところ。『参加するだけで勉強』、というところがないので、こちらもモチベーションが上がります」と話し、どんな時でも成長することを第一優先に身を削るような努力を積み重ねていることを明かした。

 さらに、「こういう一生懸命な人にぜひ勝って(棋士になって)欲しいんですよ。新四段にとっても、これだけ注目される舞台に立てることはプラスしかない」と熱いコメントで、里見女流五冠にも、試験官を務める新四段にもエールを送っていた。

 谷川十七世名人も、里見女流五冠を支える気持ちは同じだ。「将棋界というのは400年間ずっと男性の社会で来たわけですが、その中で(編入試験に)挑戦することを選ばれた。一番最初の人になろうというのは、私たちでは計り知れない大変さがあると思います。結果はわかりませんが、挑戦を続ける中で成長することが出来ればと思っています」。畠山八段は「里見さんは(すぐに)プロになってもいいくらい将棋界に大きなものを残している。仮にだめだったとしてもそれは変わらない。受かってほしいですが、のびのびとした気持ちでやってほしい」と温かい言葉を寄せていた。

 里見女流五冠の棋士編入試験は、これまでの2局に敗れておりカド番に。今後3戦で全勝が合格の条件とあり、厳しい道のりとなることが予想されている。注目の第3局は10月13日に大阪市の関西将棋会館で予定され、試験官は狩山四段が務める。

【動画】菅井八段が語る里見女流五冠の「すごいところ」
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