今年も10月からスタートしたプロ麻雀リーグ「Mリーグ」は、今期で5年目を迎えた。2018年のリーグ発足から着実にファンの数を増やし、2022-23シーズンに入ったところでは、試合直後には選手名が続々とTwitterのトレンド入りを果たすようにもなっている。ただ、こんな現状に満足しないのが、リーグ誕生当初から人気選手として牽引してきたTEAM雷電・萩原聖人（連盟）だ。人気俳優としても活躍し、数々の麻雀番組でも華々しく活躍してきた功績は、他の麻雀プロにはないもの。その萩原は新シーズンに対して「麻雀ともMリーグとも馴れ合わない一年にしたい」という強い思いを示した。
「麻雀」という競技にプロがいること知る人の方が少なかった2018年。一般的な認知度がほぼゼロに等しい選手が大半の中、唯一と言っていいほど絶大な認知度を誇っていたのが、俳優でもある萩原だった。現在、ライバルとして戦う女流プロの第一人者でEX風林火山の二階堂亜樹（連盟）が「我々ではできないアピールの仕方をしてくれている」、現役最強とも呼ばれる渋谷ABEMAS・多井隆晴（RMU）は「萩原さんがいたからMリーグの今がある。麻雀業界全体が、萩原さんにおんぶに抱っこですよ」と、感謝の言葉が続く。選手としての成績は1年目に思い描いたものとは異なる苦戦が続いているが、それでも萩原をきっかけにMリーグの存在を知った人が多いことは疑いようもない。
1年目、萩原は実に多くの取材を受けた。ドラマ、映画の取材を受けても、自ら率先してMリーグについてのコメントをするようにも努めた。ただ、各種メディアも新しいものには敏感だが、やはり2年目、3年目と目新しさが減ったものには関心が減る。「（取材は）2年目、3年目で圧倒的に数が減りました。広めるって本当に大変だなと痛感しますよね」と、実体験を口にした。リーグ発足時には将来、オリンピック種目に加えるという大きな目標を掲げてスタートした。今でもその目標自体は失われていないが、少しずつ広がっていくリーグについて満足し始めている周囲の反応に対して、どうしても納得がいかない。「Mリーグは確かに話題になったし、何十万人が毎週楽しみにしてくれている。でも『このくらいだったな』というものでは終わらせたくないんですよ」と、自分にもムチを入れている。
麻雀プロになると宣言し、Mリーグがスタートした時は、とにかく興奮した。「1年目のようなワクワク感を取り戻したいと思っています」と、当時の高揚感を越えるものを求めている。だからこそ「麻雀ともMリーグとも馴れ合わない一年にしたいです」と、自らの思いをいろいろとリセットしながら、向き合い直している。
4年間で見えてきたものもある。自分も含め32選手いる中で、Mリーグの未来を考えて積極的に行動している選手に、多井の名を出した。「それぞれができるエンターテインメントを諦めている人がほとんど。その中で1人、多井君だけがしっかりエンタメも意識して、Mリーグの未来も考えてやっている。Mリーガーたちも32人32様みたいなのが一番いい」。多井はYouTubeを中心に、他のエンタメ業界とのコラボを積極的に実施。「麻雀が強くておもしろい人」として、確実に認知度を高めている。多井もまたMリーグに人生をかけている。
5年が節目と考えていた萩原のMリーグ。それがもうやってきた。これからは1年ごとに勝負の年だ。「1人でも多くの理解者や応援をしてくれる人がいて、自分という存在を必要にしてもらえれば。自分の需要があるなら、今は明るい未来に向けて必死に抗いたいですね」。今や各選手が勝利時に見せる決めポーズも、もとを辿れば萩原がビシッと決めたところからどんどん広まっていったもの。腹を括った5年目、萩原はどれだけカメラに向かってかっこよくその人差し指を突きつけるか。
（ABEMA／熱闘！Mリーグより）
