将棋の棋王戦コナミグループ杯挑戦者決定トーナメント4回戦が10月17日、大阪市の「関西将棋会館」で行われ、藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、20)が豊島将之九段(32)に勝利し、自身初となるベスト4進出を決めた。次戦、準決勝では佐藤天彦九段(34)と対戦する。
藤井竜王が、年度内六冠獲得に向けて大きな前進を遂げた。振り駒で先手番を得ると、今夏、豊島九段を相手に防衛を果たした王位戦七番勝負での全5局と同様、本局でも「角換わり腰掛け銀」が志向された。序盤戦は早いペースで進んだが、藤井竜王が昼食休憩前に指した角打ちに豊島九段は休憩を挟んで1時間8分を投入。局面を動かすべく、桂打ちで応じた。藤井竜王はここから強く踏み込みペースを掴む。角を攻防に駆使してリードを押し広げた。
豊島九段はじわじわと窮地に追い込まれながらも、一瞬のチャンスを狙う。驚異のバランス感覚で、先手に食らいついた。終盤では藤井竜王の銀打ちに対し、1筋の香車を目掛けて角をアタック。ABEMAの中継に出演した上村亘五段(35)は「この手で飛車が端にずれたので後手玉の脅威が緩和された」と豊島九段の渾身の勝負手を解説した。
終局後のインタビューでは、豊島九段「無理攻めになってしまった」とコメント。藤井竜王は冷静に応じて着々とポイントを積み上げていった。最後は豊島九段の粘りを突き放し、勝利を飾った。
現在五冠を保持する藤井竜王だが、棋王戦は過去5回の参加で予選敗退が2回、挑戦者決定トーナメントでも最高3回戦で敗退と挑戦経験がない。今年度、五冠を防衛して棋王初挑戦から奪取を果たした場合は最年少で六冠達成とあり、次局以降の注目度はさらに高まるところだ。次戦、準決勝では名人3期の実績を持つ佐藤天彦九段と対戦。「棋王戦でベスト4は初めてなので、次局も集中して精一杯指せればと思います」と話した。
(ABEMA/将棋チャンネルより)