子育てクーポン10万円支給案 「産むきっかけにはならない」と批判の声も 東工大准教授「物価高で出費増への手当とみるべき」
子育てクーポン含む総合経済対策案(フリップ解説)
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 政府は、来年春に配布が始まる予定の「出産準備金」の必要経費を本年度の第2次補正予算案に計上する方針だ。

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 これは、0歳から2歳の子どもがいる家庭を対象にベビー用品や育児サービスなどに使えるクーポンで、子ども1人あたり10万円を想定している。

 クーポンの配布についてSNSでは、「必要なものが多いので助かる」と喜ぶ人がいる一方で、「一時的なバラマキでは効果が出ない」「子育てクーポンは産むきっかけにはならない」といった批判の声も上がっている。

 現金給付を望む声も多く上がる中、岸田総理は19日の国会で、「自治体の判断で現金給付もオプションとして排除されない」と説明。クーポンの配布については、一度限りではなく来年度以降も続けることが検討されている。

 一方で、子育て支援についてはこんな指摘も。

子育てクーポン10万円支給案 「産むきっかけにはならない」と批判の声も 東工大准教授「物価高で出費増への手当とみるべき」
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「今月からはいよいよ児童手当に所得制限がかかるようになった。私も今1歳児含めて3人子育て中だが、今月から見事に0円。子どもを一生懸命生み育てていることに変わりはないのに、頑張って働くと所得制限がかかって、さまざまな支援が剥ぎ取られてしまう。こんな国で一体誰が積極的に子どもを育てたいと思うだろうか」

 日本維新の会の音喜多駿参院議員が訴えたのが、子育て支援を受ける際の所得制限の壁についてだ。15歳までの子どもがいる家庭に支給される児童手当などのうち、一定の所得以上の家庭に支給されてきた特例給付が、この10月から廃止になった。

音喜多議員「一方で所得制限のない出産準備金10万円クーポンを実施するとの報道も出ている。だが子育て支援に関わる施策について実態はこのように所得制限だらけになっているということを総理はどうお考えだろうか」

岸田総理「結論から言って引き続き私は目的や給付方法によって所得制限というのはありうると考えている。そして、一方でおっしゃるように政策全体の中でより、広い方々に政策恩恵が行き届くような配慮を政府として行う、こうした考え方については私も同意するところである。その所得制限とそして全体を政策のバランスの中で物事を考えていきたいと思う」

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 ニュース番組『ABEMAヒルズ』に出演した東京工業大学の准教授・西田亮介氏は、この話題について「子育てするのに、物がたくさん必要になり、出費が多くなりがち。そういったときに、多くの子育て世帯に対して、幅広に給付が行えると。肯定的に評価できるのではないかと思う」と述べた一方で、根本的な子育て環境の改善には繋がらないと話す。

「直近の物価高の中で、生活が厳しくなっている。また、子どもを育てるに際して、当然さまざまな出費が多くなるので、そこに対する手当とみるべきではないか。出生数が減り続けて80万人を割り込むと言われているが、そういった状況に対してテコ入れするという意味では、この都度の10万円配布はほとんど影響しないだろう」

 政府の総合経済対策案には、子育てクーポンを始めとする「物価高・円安への対応」、「構造的な賃上げ」と「成長のための投資と改革」などが盛り込まれている。これらに対し、西田氏は、自身の見解を示した。

「物価高・円安への対応については、かなり肯定的に評価できる。岸田政権は今、評判が悪くて、支持率も下がり続けているが、物価高騰対策は案外成果をあげている。他国と比較したときに、日本は大体、消費者物価指数が3%上がったが、欧州やアメリカに目を向けてみると、10%弱ぐらい伸びている。そう考えれば、物価抑制は比較的うまくいってるといえそうだ。では何がうまくいってるのかというと、インフラ(電気料金やガス料金)の補助、ガソリン価格への補助。食品で幅広く使われる小麦の払い下げ価格の据え置きだ」

 また、「構造的な賃上げ」と「成長のための投資と改革」について西田氏は「付け焼刃的というか、見栄えがいいというか、あまり意味がない政策が多いだろう」と持論を展開していた。

 政府は、10月末までに総合経済対策をまとめるという。(『ABEMAヒルズ』より)

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