自らも障がいを抱えながら、脚に障がいを持つ人に対応した靴を開発し販売。「ハンデを抱えていてもおしゃれを諦めないで」と奮闘する女性社長の思いを聞いた。
明るい色を基調としながら、どこか上品さを感じさせるパンプス。これらの靴は、脚に障がいを持つ人向けに作られている。「Mana’olana」は、脚に障がいがあり補助器具を装着して生活する人でも履きやすい、“おしゃれな靴”を販売し注目を集めているブランドだ。
「突然、障がいや病気になることもあると思う。それでも落ち込まずに、諦めずに楽しめるような社会になってもらいたい」
こう話すのは、「Mana’olana」の生みの親、株式会社LUYLの布施田祥子(さちこ)代表。ブランドを立ち上げたのは、自身を襲った病魔がきっかけだった。2011年に長女を帝王切開で出産し、産後の入院中、授乳の際に脚がもつれ、動かなくなっていったという。
「(脚が)どんどん硬くなって氷みたいに冷たくなった。夜中だったので、ちょっと朝まで様子見をしていた」
異変の正体は「脳出血」。その後、12日間に渡って意識を失っていたという布施田氏。目覚めたときには、後遺症で体の一部がまひ状態になっていた。
「左半身まひの症状で手足が運動まひになった。先生には『手も動かないし、脚もよくて車いすだろう』と言われた」
その後、懸命のリハビリによって、右手は動かせるようになったものの、下半身の機能は戻らず、現在も歩行を支えるための「下肢装具」の装着が欠かせない。そんな中、布施田氏にはある悩みがあった。
「下肢装具をつけるようになって、ほとんどの靴が履けなくなり処分した。好きな物を着たり、好きな靴を履くことが出来なくなるとは思ってもみなかったので、悔しいというか、悲しくなった」
転倒や脚の変形を予防するために使用される下肢装具。脚の機能を補助するために欠かせないツールである一方、装具に対応する靴は、デザインより機能性を重視したものがほとんど。ユーザーたちがおしゃれを諦めてしまう現状に、布施田氏は行動を起こす。
「これだけ無いなら、自分で作るしかないと思った。当時のリハビリの先生に相談したら『作っちゃいなよ』と背中を押してもらい、それで作り始めた」
その後、2017年に埼玉県が主催する女性向けのビジネスプランコンテストに応募し入賞。県からの支援を受け、靴の開発へとこぎつけた。こうして作られた靴は、スマートさを重視したというデザインのほか、片手で脱ぎ履きしやすいなど、障がいを持つ人でも使いやすいよう、機能性にもこだわった。
「娘の結婚式にヴァージンロードで履ける靴が見つかって嬉しいですとか、今は履けないけど、リハビリ頑張ってこの靴が履けるようになるよう頑張りますという声や言葉に励まされている」
目指すは“選択肢がある日常”が当たり前の社会だ。
「(障がいをもつ人の)おしゃれの選択肢、靴の選択肢を増やしたい。日本の企業やメーカーもどんどん巻き込んで、スピード感を持って選択肢が増やせればいいなと思っている」
(『ABEMAヒルズ』より)
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