年功序列、終身雇用といったこれまでの常識が抜本的に見直されつつある日本。転職や副業への価値観が徐々に変化するなか、10年以上前から「専業禁止」を掲げてきた会社があった。
その会社はオンラインショッピングサイトの運営などを手掛けるエンファクトリー。社長の加藤健太さんは専業禁止について次のように話す。
「“専業禁止”というのが“副業禁止”と比較して言葉が強烈なので、禁止はしてないんですが、『副業やりたかったらどんどんやったらいいじゃん』というのが僕らの考え方」
エンファクトリーでは、2011年の創業時から副業を選択肢の1つとして、オープンな働き方を推奨。犬用の手作りグッズを販売する人もいれば、新たな組織内の繋がりを生み出す社内交流ランチというサービスを提供する人もいるなど、その分野は多種多様だ。
副収入を得る“サブ的”なイメージが根強い副業だが、エンファクトリーではどちらもメインを目指すパラレルワーク(=複業)を推奨している。現在、社員の半数ほどが複業をしているという。
「まず1つは、シンプルに個人がめちゃめちゃ視野が広がって、株式会社を1人で経営していくみたいなものだから、すごく目線が上がって成長する。もう1つがオープンにして、みんながチャレンジしていることを見るので、周りが『私も色々チャレンジしよう』みたいな感じでキャリア自立、自分の人生を主体的にどうしていくかをちゃんと考えるようになっていく波及効果がある」
エンファクトリーではそれぞれの複業の進捗状況や成果の報告をする場があり、お酒を片手にパーティのような雰囲気で開催している。身近な人のリアルな体験談が、周囲に様々な影響を与えると加藤社長は話す。
一方で副業といえば、必ず挙げられるのが情報漏洩の危険性や、本業に支障をきたすなどのデメリット。これについて加藤社長は、「情報漏洩は副業禁止でも起こり得る」「複業のせいで仕事に身が入らないケースはほとんどなかった」と、これまでの経験などを踏まえ説明する。
副業の禁止や解禁にとらわれず、その人が成長するための場を経営者側がどう整えていくのか。あくまでも「専業禁止」はその選択肢の一つというのがエンファクトリーの考え方だ。
「杓子定規に『全部副業解禁した方がいいですよ』と言うつもりはない。ただ個人からすると、なんで副業とかいろんなことにチャレンジすることが必要になってきているのかというと、個人側からすると1つの企業で滅私奉公のように働いていって、給料も年功序列で上がっていってみたいな時代はもうないわけで、ぼんやりと会社のレールを走っていたら、いつの間にかどこにも行けない自分がいる。道なき道を行ったほうがいいですよね。そこら辺に個人としての差もすごく出てくるような世の中になるので、少なくとも『そういう時代だよ』ということは世の中には伝えていきたい」
(『ABEMAヒルズ』より)
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