ワールドカップ日本対スペイン戦で、試合の行方を左右する重要な場面で登場した「VAR」。他にも、今大会で導入された“新たなシステム”に注目が集まっている。
本田「なになになに。ゴールキックということ?」
槙野「ラインは割ってないぞ!割ってない!」
本田「割ってない?じゃあもう入ったやん」
槙野「俺の目の前だったぞ今」
寺川「副審はフラッグは上げませんでした。ただ、ゴールキーパーはゴールキックを主張しています」
本田「なになになに」
勝ち越しがかかった日本の2点目のシーン。ピッチ上で見ていた槙野智章氏がラインを割っていないことを確信する一方、解説の本田圭佑氏は不安な様子だ。それもそのはず、映像をフレーム単位で確認してもたった1フレームの出来事で、審判も判断ができない。
そこで登場したのが、VAR(=ビデオ・アシスタント・レフェリー)。PKの判定のような得点が絡むシーンや退場の可能性がある反則のシーンなど、主審が確認できなかった行為について、別の場所で様々な角度から映像を確認するシステムだ。
ボールの接地面がラインに触れていなくても、ラインの上空に少しでもボールの一部が触れていれば日本のゴールが認められる場面。しばらくして、審判笛とともに判定が出た。
寺川「ゴールだ!ゴールが認められました」
槙野「出てないんです!」
ワールドカップでは、2018年のロシア大会で導入されたVAR。今大会ではチュニジア対フランスで、リードされたフランスが追加点をあげようという場面でVARを使用。確認した結果、フランスの同点ゴールは認められず、チュニジアが大金星を挙げた。こうした勝敗を左右するシーンでの介入が目立っている。
寺川「今大会は半自動オフサイドテクノロジーが導入されています」
本田「何ですか、それは」
さらに、試合中に出てくる選手の位置関係を示したCG。これがオフサイドの有無を判別する、半自動オフサイドテクノロジーだ。
今大会の公式球の内部には、完成計測装置センサーを搭載。1秒間に500回ものボールデータをビデオオペレーションルームに送信しているという。この正確なボールのデータと選手の動きを追跡するトラッキングデータを組み合わせることで、自動的にオフサイドの警告を表示し、主審の判断の手助けをしている。
本田「テクノロジー発動でしょ!」
ドイツ戦では前半終了間際のドイツの追加点という場面、そしてスペイン戦では日本の逆転がかかった場面で登場したVAR。歴史的快進撃の裏にあった最新技術の的確な判断も、今後要チェックだ。
ニュース番組『ABEMAヒルズ』には、元日本代表MFの玉田圭司氏と、2002年のワールドカップ日韓大会で日本代表のトルシエ監督の通訳を務めたスポーツキャスター、フローラン・ダバディ氏が出演。番組MCの柴田阿弥アナウンサーが、2人に話を聞いた。
――対スペイン戦で「日本を救った」と言われるVAR判定。この進化について、玉田さんは元選手としてどう見ているのか。
「嘘はつけないので良いことではあるが、VARが発動することによって、マラドーナの“神の手”のような歴史的なゴールもなくなってしまうので、寂しい部分もある」
――ダバディ氏はVAR判定について、どう見ているか。
「私も玉田さんと同様に、最初は反対だった。“神の手”は歴史だと思うし、審判も人間だからミスを犯すと思っていたが、昨日のゴールで私の意見は変わった。それは日本寄りだからではない」
「スペインは2002年、全く同じ局面で決勝トーナメントのベスト8で韓国に負けた。実は韓国のセンタリングがラインを超えていたが、ゴールを決められて負けた。だから、スペインがまたこの局面で日本に負けると、海外では日本を敵対視したり、日本の勝利は付録だったと言ったりするかもしれなかった。日本はこれほど素晴らしく戦ったのに、この一つの出来事で(メディアに批判的なことを)書かれるのは嫌だった。判定が間違っていないとわかって、初めて海外の新聞は“日本の勝利は全くの文句なし”と」
(『ABEMAヒルズ』より)
■Pick Up
・キー局全落ち!“下剋上“西澤由夏アナの「意外すぎる人生」
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・「ABEMA NEWSチャンネル」知られざる番組制作の舞台裏