普段何気なく食べている食事。その味を研究し、数値化している企業がある。味の再現はもちろん、ある社会問題の解決を目指していた。
「味を数値化することを目的としている。味以外にも匂いや食感を数値化することで、おいしさを表現している」
そう語るのは、株式会社味香り戦略研究所の髙橋貴洋主席研究員。味覚センサーなどの機械を使用し、甘味や苦味などの味覚はもちろん、香りや食感なども数値化している。
「自分の感覚でしか表現できなかったものを数値化することで、一つの物差しというか、単位作りができる。そうすると、世界中どこに行っても味を再現できる」
音楽の楽譜になぞらえて「食譜」を作ることで、伝統食やおふくろの味をいつでも再現できるという。しかし、味を数値化してしまうと、同じ味のものが流通してしまうのではないか。
「味を数値化することで客観的に見ることはできるが、人には嗜好性がある。要するに、好きこのみ。それは人の個性なので、そこを上手くつないでいくことをうちの会社でやっている」
味覚の数値と人の好みを紐づけし、個々のおいしい味のデータを得られる。そのため、人に応じた味の提供や、企業と連携してターゲットを狙った新商品の開発などができる。
さらに、意外な分野にも発展しているようだ。
「好みや消費行動がわかってくると、婚活アプリのようなマッチングアプリが作れる。食嗜好が似ている人は、生活する中でも上手くいく可能性がある。だから、嗜好性のパターンが見えてくると、そういった使い方もできる」
食のすれ違いは、生活のすれ違い……食の好みが“見える”ようになることで、新たな出会いの指標になるかもしれない。食の数値化を行うことで、おいしいものを提供することはもちろん、今後懸念される食の問題の解決を目指している。
「今後は食料危機が課題になっている。知らない食材や違うものに置き換えないと、肉が食べられなくなる事態が控えている。おいしいもので再現してあげないと、食の楽しみが失われてしまう。今まで作ってきたデーターベースがあるので、それを活用して新しい未来の食を作り上げていきたい」
(『ABEMAヒルズ』より)
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