「僕はC・ロナウドの後継者じゃない」 “ポルトガルの未来”を感じさせる若き貴公子ジョアン・フェリックス
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ラウンド8に進むための対スイス戦は、ポルトガルにとって象徴的な試合だった。クリスティアーノ・ロナウドのスタメン落ちもそうだったし、6-1という印象的なスコアもそうだったし、そして何よりその中身がよりポルトガルの未来を感じさせたからである。

大会初のハットトリックを達成したゴンサロ・ラモスの輝きも見事なものだったが、本当にこの試合で輝いたのは、若き貴公子ジョアン・フェリックスだ。

彼のキャリアは18-19シーズンに花開いた。プロデビューを果たしたベンフィカでリーグ戦26試合15得点(アシストも9だ)と荒稼ぎをし、一躍脚光を浴びる。同年のELでは史上最年少でのハットトリック達成者の記録を更新。ポルトガル国内だけではなくヨーロッパにフェリックスの名を轟かせた。

初A代表入りはフェリックスが19歳のEURO2020の予選。そこで見出された才能をメガクラブが放っておくわけもなく、レアル・マドリーやマンチェスターCなどのいつもの名前が噂で飛び交う中、代表入りの4ヶ月後にアトレチコ・マドリーに7年契約154億円という高額金で移籍を果たした。

ついにフェリックスは、ポルトガルからヨーロッパ、そしてワールドワイドな選手の一人になったわけである。

ただし、彼のキャリアは決して順風満帆ではなかった。フェリックスは身体の成長が人よりも遅く(その経緯はどこかメッシと似ている)、そのため最初のクラブでは彼は重用されなかった。

そんなフェリックスは5年後に見違えるような選手になっていた。プレースタイルは何とも言いようのない魅力を持ち合わせている。天性のものとしか思えない柔らかなボールタッチ。南米の一流選手のように滑らかにボールに触る。

屈強な相手DFの寄せにもまったく動じない体幹の強さと、彼らDFのスピードを利用したボールキープ。ターンの角度やタイミング、アウトサイドでのボールの持ち方はモドリッチを彷彿させる。

DFのタイミングを微妙にずらすフェイントを入れながら、時に滑るように、時に激しく前に進むドリブルは往年のカカを思い起こさせる。

ジョアン・フェリックスが数多く出てくる「期待の星」「若手ホープ」と一線を画すのは、その類まれなインテリジェンス、いわばサッカーIQの高さだ。自己顕示に陥りやすいトリッキーなドリブルやフェイントよりも、ゲームに勝つための最善手を常に選ぼうとするプレーが、クラブ経営者やサポーターに一番に好かれる理由だろう。

自らスペースを作ってそこを味方に使わせる、自らスペースに入っていき、決定的な仕事をする。トップ、2列目、サイドハーフのどのポジションも高いレベルで難なくこなす。

空間認知能力が異様に高く、サイド、中央、自由に動いて相手DF網を分断する。各ポジションでゴールへ直結する最適解を導くプレーを選択する様は、とても21歳の選手とは思えない。とにかく「見ていて楽しい」選手だ。

ジョアン・フェリックスは、ベンフィカ時代にはポルトガル黄金世代の一人である「ルイ・コスタ2世」と呼ばれていた。アトレチコ・マドリーでは「グリーズマンの後継者」と期待されている。そしてポルトガル代表では、彼の容姿も含めてあの「クリスティアン・ロナウド」を継ぐ存在として注目が集まっている。

この周りからの声や期待に、彼はどう思っているのだろうか?

その答えが次のセリフだ。

「僕はクリスティアーノ・ロナウド2世でもなければ、グリーズマンの後継者でもない。僕はジョアン・フェリックスになりたいんだ」

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