“コントローラーを使わなくてもゲームの操作が可能になる”という研究が、慶應義塾大学の研究チームによって進められている。
実況「素早いスタート、そのままゴール!そしてステージ2へ入っていく」
人気オンラインゲーム『フォートナイト』のキャラクターを操作する男性。操作に使っているのはコントローラーやマウス、キーボードではなく「脳波」だ。
開催されたイベント「BMIブレインピック」では、参加者の中高生が事前に設計されたコースを走り、脳波による操作でタイムを競った。人の脳と機械を繋ぐ、「ブレイン・マシン・インターフェース(=BMI)」の研究を続ける慶應義塾大学理工学部の牛場潤一教授に、その仕組みを聞いた。
「私たちが体の動きを想像すると、頭の中では運動のシグナルが生成されていく。その時に、駆動する神経回路は電気的なシグナルを出す。だから我々はヘッドホン型の脳波計をつけて、頭の表面に生じている脳波、つまり電気的なシグナルを読み出す。『あ、この人は今足の動きをイメージしているな』『手の動きをイメージしているな』とAIが判断したら、『フォートナイト』のキャラクターにコマンドを送る。それにより、ユーザーは実際には手足を動かさず、念じるだけでキャラクターを操作することができる」
ユーザーが体を傾けると進行方向を変えることができ、脳からのシグナルと合わせて
キャラクターをコントロールすることができる。
イベントの参加者は、脳波で操作した感想について「思っていた以上に気持ちよかった。動いている感じが実感できたので、コントローラーでプレイするより全然面白かった」「新鮮な感じ。今までにない感触だった。(キャラクターが)前に進んでくれてうれしかった」と述べた。
この日は、牛場教授と共にBMIの操作をトレーニングしてきた筋ジストロフィー患者の清水猛留さんと、先天性脳性まひがある鱒渕羽飛さんも参加。BMIを使い、車いすを動かすほどの脳波コントロールをすでに習得済みだ。
「健常な方も障がいのある方も、慣れないとコントロールするのが難しい。BMIを使った『フォートナイト』でタイムトライアルを行うことで、障がいのあり・なしにかかわらず、共に競い合うことができた。決勝戦は清水さんと高校生の一騎打ちになった。0.1秒を切るぐらいのギリギリのタイム差で、最後は高校生が勝った」
清水さんは「健常者と障がい者の壁もなく、競い合いができるのは至福の時だった」と喜びを明かした。
ゲームだけでなく、パソコンやスマート家電を操作することができれば、「例え障がいがあったとしても自立した生活を送れるようになるかもしれない」と話す牛場教授。逆に、BMIを使い身体の動きをイメージすることで、運動機能の回復に繋がっていく可能性も秘めているという。
「障がいが重たいと、体を動かすことや動いたときに感じる感覚をそもそも経験できない状態になってしまっている。でもBMIを使うと、わずかに発生した運動のシグナル、あるいは体が動いたときの感覚を想像しやすくなる。念じて車椅子が動いたり、念じてキャラクターが動いたりして便利なだけではない。自身の持つ神経の使い方をトレーニングして、機能回復に結びつけていくことができるだろうと考えている」
(『ABEMAヒルズ』より)
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