将棋の藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、20)が12月19日、王戦コナミグループ杯挑戦者決定二番勝負第1局で佐藤天彦九段(34)に勝利し、棋王挑戦まであと1勝に迫った。敗者復活戦から変則二番勝負に進出した藤井竜王は、本局を含む2連勝で挑戦権を獲得できる。27日に予定されている第2局で佐藤九段に勝利した場合、自身初の棋王挑戦が決定する。
藤井竜王が、参戦6期目で初の棋王挑戦にあと1勝まで近づいた。本局は、振り駒で先手番となると、後手の佐藤九段が得意の横歩取りに誘導した。勝者組を制した佐藤九段にとっても、本局勝利で7期ぶり2度目の挑戦が決定する大一番。互いに慎重に指し進め、じりじりとした序盤戦が繰り広げられた。
均衡が保たれたまま中盤戦に差し掛かると、佐藤九段が先手の飛車の裏に歩を打ち込む一手に、藤井竜王が持ち時間から1時間22分を投入。角道を遮断し、角交換を防ぐ選択を取った。先手は3筋から銀を強く踏み込みペースを握ると、激しい終盤戦に突入。さらに、藤井竜王は一見危険にも見える玉の露出も構わず、安全を確信したように中央地点に角を打ち込んで反撃へ転じリードを拡大させた。藤井竜王は冷静かつ冷静な指し手で佐藤九段を圧倒。最後は藤井玉をするすると上部に前進させ、完勝で第1局を制した。
この結果で変則二番勝負は、1勝のアドバンテージを持つ佐藤九段と、本局を制した藤井竜王が1-1のイーブンに。同カードで行われた準決勝に敗れ、一度は挑戦権獲得に“黄色信号”が灯った藤井竜王が猛烈な追い上げを見せて挑戦権獲得にあと一歩の位置までたどり着いた。挑戦権を獲得、さらに棋王位を奪取した場合は、年度内に六冠獲得とあり夢は膨らむばかりだ。
渡辺明棋王(名人、38)への挑戦権を掴むのはどちらか。27日に予定されている運命の第2局に向けて、藤井竜王は「またしっかり集中して対局の臨めればと思います」とコメント。佐藤九段は「今日は残念な結果になったが、ある意味、藤井さんのような人ともう一局指せるということはモチベーションになる。もちろん結果は求めて行きながら、一生懸命戦っていけたらなと思う」と意気込みを語った。
(ABEMA/将棋チャンネルより)