将棋の藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、20)が12月19日、棋王戦コナミグループ杯挑戦者決定二番勝負第1局で佐藤天彦九段(34)に79手で勝利した。佐藤九段得意の「横歩取り」の一局を完勝。最後は藤井玉が自ら相手陣に攻め込むアグレッシブな展開に、ファンからは「こんな決め方があるのね」「凄すぎ太」と驚きの声が上がっていた。
敗者復活戦から挑戦者決定二番勝負にたどり着いた藤井竜王。負ければ棋王初挑戦が消滅する一局とあり、引き締まった表情で対局室に姿を見せた。一方、佐藤九段は準決勝で藤井竜王を破って勝者組トーナメントを制しただけに、絶対に負けられない思いは同じ。本局で7期ぶり2度目の挑戦を決めるべく得意の「横歩取り」に誘導すると、藤井竜王も受けて立った。
じりじりとした展開から、中盤戦は難解なねじり合いに。佐藤九段が先手の飛車の裏に歩を打ち込み攻勢をかけると、藤井竜王は「気付いていなかった」と長考に沈む。「打たれてみると正しい対応がわからず、本譜では自信がないと思ってやっていた」と1時間22分を投じ、角道を遮断し角交換を防ぐ一手を決断。攻めを続けたかった佐藤九段だったが、終局後には「具体案がわからなかった。攻勢を継続する手段が取れなかったのが形勢悪化に繋がってしまった」と悔し気な表情を見せた。
終盤戦では、ABEMAの解説陣の想像を超える玉さばきを披露した。藤井竜王は、一見危険にも見える玉の露出も構わず反撃を決断。佐藤九段も先手陣深くに馬を作って藤井玉を追いこんだが、藤井竜王は強く中段に玉を上がる。後手の飛車の猛攻にも、「どうなっているか分からないところもあったが、何とかしのいでいてくれていれば」とさらに踏み込み、王将自ら後手陣目前へ。最後は自玉の前に歩を連続で打ち込み79手で快勝を飾ると、解説の屋敷伸之九段(50)を「最強の勝ち方だった」と唸らせた。
王様自ら進軍するアグレッシブな構想に、ファンも大興奮。「こんな決め方があるのね」「凄すぎ太」「こんなん無理やん」「まさか玉がこんなところまで…」「ゴールキーパーがシュート決めた」「王様どこ行くねん!」など、多くのコメントが寄せられていた。
藤井竜王が第1局を制したことで、変則二番勝負は佐藤九段と1-1のイーブンに。27日に予定されている第2局では、挑戦権争いはもちろん、両者の作戦・構想に今から大きな期待が寄せられている。
(ABEMA/将棋チャンネルより)