20歳の最強五冠王が、大好きな鉄道を前にニッコニコ満面の笑顔を見せた。8組の師弟により“最強の師弟”を決める超早指し戦「ABEMA師弟トーナメント2022」の予選対局を前に、初出場コンビの藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、20)&杉本昌隆八段(54)師弟が愛知県名古屋市の「リニア・鉄道館」に集合した。師匠の杉本八段は「多忙な藤井竜王に趣味の鉄道を思い切り楽しんでもらい、リフレッシュして大会へ臨もう!」と立案。しかし、藤井竜王のあまりにもピッタリお似合いな運転手&車掌ぶりに、師匠からは「転職しないでね?」と不安の声が上がった。
大好きな鉄道企画に、いつになく笑顔の多い藤井竜王。リニア・鉄道館は「子供の頃に何回か来た事がありますが、久しぶり」と言い、待ち切れない表情で「出発進行!」と館内へ向かった。
車両展示コーナーでは、過去に世界最高速度を記録した955形新幹線試験電車(300X)、超電導リニアMLX01-1らをシンボルに、在来線など39両を展示。自身も数々の年少・最短記録を樹立し続けているスーパースターながら、趣味の鉄道を前にキラキラと瞳を輝かせていた。2003年に山梨リニア実験線で当時の世界最高速度を記録した実物車両にすると、「今はさらに改良したL0系で、さらに早い速度で走れるんですよね!」と豊富な知識を披露。中央新幹線が開業すれば東京~名古屋が40分、大阪までは67分での運行が予定されているといい、多忙な藤井竜王にとっては開業が追い風になりそうだ。
次は新幹線シミュレータで「N700」の運転に挑戦。師弟のために特別に用意された制服と帽子に着替えると、杉本八段からは「本当に似合ってるねぇ」と目を細めて“お父さん”の顔に。ウキウキの藤井竜王も「楽しみです!」と満面の笑みを見せた。しかし実物大の運転台に座ると、途端に表情がキリリと引き締まる。CG映像で再現された風景に目もくれず、対局さながらの真剣な表情でブレーキ、アクセルバーを握りしめ、線路と速度計とにらんでいた。停車駅の名古屋駅ではわずかに停止位置をオーバーしたものの、シミュレータから及第点が与えられるとホッとした様子で表情を緩めた。
最後は在来線シミュレータで車掌業務にもチャレンジ。何とも初々しい“新人車掌さん”が「ご乗車ありがとうございます。この列車は普通列車の木曽路行きです。次は、三重です」と車内アナウンスを行い、「ドア!ホーム!オーライ!」と指さし確認する様子は、「可愛すぎ!」「めちゃくちゃ似合うなあ」「楽しそうね」「ちょっと緊張してるw」「この電車に乗りたい~」「かわえええ」「こんなにかわいい車掌さんいたら通勤も楽しくなるのに…」とファンの心をわしづかみにしていた。
運転手&車掌業務を満喫した藤井竜王は、「とても楽しかったです!」とすっかりリフレッシュした様子。杉本八段も「楽しそうにチャレンジしている姿が印象的だったね」と振り返っていた。しかしあまりにも楽しそうな弟子の表情に不安がよぎったか、師匠は思わず「て、転職しないでね!?」。藤井竜王は「いえいえ!」と大笑いで否定していた。
師弟で楽しい時間を共有したことで絆は一層深まった様子。師弟トーナメントは初参戦ながら、藤井竜王は過去のABEMAトーナメントで4連覇を達成するなど実績は充分、優勝筆頭候補のチームだ。目的地は“最強師弟”の座。「優勝に向けて、出発進行!」と息もピッタリの指差喚呼でトーナメントに向かった。
◆ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで、チームの対戦は予選、本戦通じて全て3本先取の5本勝負で行われる。第4局までは、どちらか一方の棋士が3局目を指すことはできない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)