対局場に響く乾いた打撃音 深浦康市九段、気合の顔叩きに弟子も反応「あ、ペチペチが入った」/将棋・ABEMA師弟トーナメント
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 この音が響いた時には、ベテラン棋士の気合がMAXになった時だ。8組の師弟により“最強の師弟”を決める超早指し戦「ABEMA師弟トーナメント2022」の予選Bリーグ1位決定戦、チーム深浦 対 チーム木村が1月7日に放送された。この第3局で深浦康市九段(50)は第2局で敗れていた木村一基九段(49)と再戦。負ければカド番という重要な一局で終盤の勝負どころを迎えると、自分の頬を何度も叩いて気合注入。弟子の佐々木大地七段(27)も「あ、ペチペチが入った」と反応し、視聴者も注目した。

【映像】気合の証拠・深浦康市九段の顔ペチペチ

 人当たりのよさと、勝負に対する熱い思いを心に同居させる深浦九段は、弟子の佐々木七段に厳しさと優しさ、どちらもうまく与えながら良好な師弟関係を築いている。師弟トーナメントでも、勢いのある弟子に委ねる師匠も多い中、深浦九段は自らも力強い将棋で勝利をもぎ取りに行く強い背中を見せつつ、弟子にも厳しい勝負を何度も体験してほしいと願っている。第2局で敗れながらも連投した第3局は、まさに男の背中を見せる絶好の舞台だった。

 強靭な受けが特徴的な木村九段との再戦は、深浦九段が先手番から雁木を採用。木村九段は菊水矢倉を選び、相居飛車になった。激しい攻め合いになったものの、木村九段の分厚い受けに跳ね返され、一時は明確に不利になった。それでも歯を食いしばって反撃のタイミングを伺っていた深浦九段が、苦境で▲4八銀という妙手を発見。これで一気に形勢不明と言われるほど互角に持ち込んだ。

 ここで飛び出したのが、深浦九段が要所と自覚した時に見せる「顔叩き」だ。将棋界に限らず、気合を入れ集中力を高めようとする人が、自分の頬を叩くこともあるが、持ち時間5分・1手指すごとに5秒加算という超早指し戦の中で、わずかな時間でパチンと顔を叩くのも難しいもの。とはいえ、より集中を求めたのかはっきりと対局場に響くボリュームで頬を何度も叩いた。

 弟子の佐々木七段からすれば、見慣れた勝負のサイン。「あ、ペチペチが入った」と大きな驚きもなさそうだったが、このリアクションにファンが反応。「ペチペチ入りましたー」「ぺちぺち来たー」「ムチが入ったら直線一気」佐世保名物ペチペチペッチ」と盛り上がった。対局は顔叩きの効果もあってか、深浦九段が熱戦を制し、その勢いを引き継いだ佐々木七段が第4局に勝利し、チームも1位通過が決定。本戦でもきっと、大事な局面で深浦九段は容赦なく自分の顔を叩く。

◆ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで、チームの対戦は予選、本戦通じて全て3本先取の5本勝負で行われる。第4局までは、どちらか一方の棋士が3局目を指すことはできない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

【映像】弟子に向けて優しい眼差しを向ける木村一基九段
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【映像】師匠対決にベテラン同士がコメント合戦
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【映像】気合の証拠・深浦康市九段の顔ペチペチ
【映像】気合の証拠・深浦康市九段の顔ペチペチ
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