誰もが翻弄されてしまいそうな仕掛けに、この男だけは惑わされず、その上で果敢に切り込んだ。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2022-23」1月9日の第2試合。“ゼウス”こと赤坂ドリブンズ・鈴木たろう(最高位戦)がバラバラの手牌から戦略的な仕掛けを行い、それに対して“軍師”の異名を取るEX風林火山・勝又健志(連盟)が応戦。高度な駆け引きが展開され、これにファンや放送席も騒然となった。
東4局、まずたろうが手牌が整わないうちからカン六万をチー。解説の朝倉康心(最高位戦)は思わず「見てくださいよ」と実況の日吉辰哉(連盟)へ水を向け、日吉は驚いて「何ですかこれ、カン六万チー」。朝倉は「タンヤオか、役牌です」と説明したが、まだまだ最終形は見えてこない。視聴者も「なにこれw」「どこへ行くのw」「ブラフ入れてる」「出ました亜空間」と騒然となった。朝倉は「たろうさんに質問するじゃないですか。これブラフですか?って。でも『ブラフやったことない』っていうんですよ。たろうさんは本気でアガリに行ってるんですよ」とたろうの打ち筋、思考をさらに説明した。
これを見てU-NEXT Pirates・仲林圭(協会)、セガサミーフェニックス・茅森早香(最高位戦)の両者は撤退。気になるのはEX風林火山・勝又健志(連盟)の動向だ。勝又はたろうの動きを注視しつつも自分の手は進め、アガリが見える形になると、4索を暗カンしてよりアグレッシブな戦闘態勢に。さらにリンシャンから有効牌を引くと、握り込んでいた發を強打した。これに日吉と朝倉は「いったー!」と絶叫。画面には勝又が身に付けている“火”のリストバンドが映し出された。視聴者はこれに「ナイスカメラワーク!」「あそこ撮れるんかw」と興奮しきり。
結果は勝又が1人テンパイで流局。たろうの仕掛けによって重たくなった場を逆に活用し、見事に3000点をせしめた。試合後のインタビューでたろうは「間に合わないんですよ、ネック鳴いて行かないと。ダブ東を刻子にして、赤5筒引いて満貫、くらいのイメージだったんですけど」と、朝倉の解説通り、ブラフではなくあくまでアガリを見ていたと語った。
“ゼウス”の仕掛けを看破し、その上で切り込んだ“軍師”。このせめぎ合いに視聴者は「勝又からはバレるんだよ」「すげえw」「これがIQ220か」「マニアックないい局か」と絶賛。その余韻が次の局に入っても続いていた。
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019-20シーズンから全8チームに。各チーム4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム94試合(全188試合)。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各20試合・全30試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(16試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)






