子ども“2人目の壁”に家の狭さ「結局はお金の問題」 異次元の少子化対策は「税金は単身者も納めている。“現役世代対策”に切り替えて」 石戸諭氏
【映像】家の狭さが“2人目の壁” 異次元の少子化対策に住宅支援の議論
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 岸田政権が「異次元の少子化対策」に向けて内容を検討する中、若い世代が理想とする子どもの数を持たない“意外な理由”が指摘されている。

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 児童手当の所得制限撤廃など、様々な対策についての議論が進む中、“2人目の壁”として指摘されているのが住宅の狭さだ。

子ども“2人目の壁”に家の狭さ「結局はお金の問題」 異次元の少子化対策は「税金は単身者も納めている。“現役世代対策”に切り替えて」 石戸諭氏
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 国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査によると、「理想の数の子どもを持たない理由」のうち、若い世代で一番多いのが「子育てや教育にお金がかかりすぎる」の77.8%。続いて「これ以上、育児の心理的、肉体的負担に耐えられない」が23.1%、そして3番目に多かったのが「家が狭い・自分の仕事に差し支える」で21.4%(2002~2015年の調査では18~19%台)だった。

 子どもが2人、3人と増えれば、その分広い住宅が必要になるため、住宅の狭さが子どもを持つ上でのネックになっている家庭も多いようだ。この状況を加速させそうなデータも総務省から発表されている。2022年の住民基本台帳人口移動報告によると、東京都で転入者が転出者を上回る「転入超過」が、3万8023人と3年ぶりに拡大。コロナ禍で落ち着いていた“東京一極集中”が、再加速する気配が出ている。

 人が増えればマンション価格や家賃相場も上昇する懸念がある。国会でも、“少子化対策としての住宅支援”が議論されている。

 「家が狭い」という理由が2割以上となっていることについて、『ABEMAヒルズ』に出演したノンフィクションライターの石戸諭氏は「結局、一番大きな理由はお金だ」と分析する。

子ども“2人目の壁”に家の狭さ「結局はお金の問題」 異次元の少子化対策は「税金は単身者も納めている。“現役世代対策”に切り替えて」 石戸諭氏
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「近郊の広い家に引っ越すにしても、広い家を求めて地方に移住するにしろ、お金はかかる。加えて、職場環境や通勤時間などを変えなければならなくなるなど、家が広くなる代わりに多くのものを犠牲にしなければいけない。『家が狭い』というのも基本的にはお金がかかるという話に収束する。

 日本では子育てに関連するあらゆるイベントにお金がかかるということに尽きる。結婚するにもコストや手間がかかるし、結婚式を開くとなるとさらに金銭的な負担が増える。加えて、共同で育児をする現代の流れになった以上、今の職場環境やキャリア形成が犠牲になる可能性を誰しもが抱えている。そういう難しさがこの調査にすべて表れていると思う」

 また、石戸氏は、異次元の少子化対策について「異次元の現役世代対策として進めればいいのではないか」との考えを述べた。

「(異次元の少子化対策は)出生率を上げるという意味では、基本的に失敗すると思う。先行するデータを見ると、多くの国で子育て支援にお金をかけたとしても、出生率は上がっていない。日本でも、女性も多様なキャリアを選べるようになってきたことで、男女とも結婚や子どもを産むという選択肢がかつてほど規範として機能していなくなっている。これ自体は多様な社会のあり方として良いことだし、女性の社会進出含め、拡大させる方向に進んでほしい。少子化対策という言い方をやめて“現役世代対策”として進めるべきという理由はここにある。

 税金を納めて社会を支えているメンバーには単身者や子供をもたない世帯も含まれているので、現役世代の誰にも“見返り”があることのほうが大事だ。景気を回復させること、雇用の枠が増えることによって、仕事が上手くいかなかった人が再チャレンジできるような環境を整える。それによって経済的な理由によって、結婚を諦める人が減るといった対策も重要なことだ。少子化対策として進めれば、出生率が上がらなかった場合に、『じゃあ、子育て関連の支出をやめましょう』という話になってしまう。それは絶対にやめてはいけないので、あくまでも現役世代対策に切り替えてほしい」

(『ABEMAヒルズ』より)

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