少子化対策に繋がるのではと注目される、フランスで採用されている所得税の課税方式「N分N乗方式」。
個人単位の課税である所得税を世帯単位で計算。一世帯の総所得額を子どもなどの扶養家族も含めた人数で割り、求めた「税額」に再び世帯の人数をかけることで「納税額」を計算する、“子どもが多いほど税の負担が軽くなる”という仕組みだ。
国会でも、与野党双方から導入を検討すべきとの声が上がる中、鈴木財務大臣は制度導入に慎重な姿勢を示す。
「納税者全体の約6割に5%の最低税率が適用されている我が国において、N分N乗方式に移行しても、(多くの世帯は)より低い税率が適用されるメリットを受けられない。慎重な検討を行う必要がある」
N分N乗方式とは、どのようなものなのだろうか?そのメリットとは?
現在の税制では、夫婦と子ども2人の4人家族の場合、課税所得が夫600万円の片働き世帯の所得税は77万円、夫400万円と妻200万円の共働き世帯は47万円になる。一方、N分N乗方式では、どちらの世帯でも所得税は30万円となり負担が軽くなっているが、片働き世代の方が減税額は大きい。
また、同じ4人家族で課税所得2000万円の高所得世帯の場合、現在の税制では520万円の所得税額が、N分N乗方式を適用すると273万円にまで減額するという。
家族の人数が多いほど所得税が少なくなるなら、シングルマザーやシングルファザーの家庭は不利になるのではないか?やさしいお金の専門家・横川楓氏は、「家族の人数だけで判断されてしまう」と言う。さらに、「この制度が少子化対策に直接繋がるかについては少し疑問があって、“賃上げ”など入ってくるお金を底上げする仕組みの方が少子化対策には必要なのではないか。産むだけが子育てではない。その後もお金がかかるという意味で、「教育」などへの支援のほうが少子化対策に繋がっていくと思う」と訴えた。
(『ABEMAヒルズ』より)
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