森保一監督&吉田麻也選手
【映像】ABEMAでみる

 数あるサッカーのフォーメーションについて、現在のトレンドやその特徴、歴史を紹介します。

 絶対に負けられないクイズ!ワールドカップ検定SP (スポーツ)
 絶対に負けられないクイズ!ワールドカップ検定SP (スポーツ)

目次

  • サッカーのフォーメーションとは?トレンドは?
  • フォーメーション①4-2-3-1
  • フォーメーション②4-3-3
  • フォーメーション③4-4-2
  • フォーメーション④3-4-2-1
  • サッカーのフォーメーションのまとめ

サッカーのフォーメーションとは?トレンドは?

 1チーム11人で行うサッカーでは、選手の立ち位置によって戦略やスタイルが変わってきます。ピッチ上のどこに、どういう形で、何人を配置するのか。その配置隊形がフォーメーション(システム)となります。

 基本的にフォーメーションはポジションが固定されているGKを除いた10人を数字で表します。DF→MF→FWの順に3つ、もしくはMFを細分化して、DF→MF(守備的)→MF(攻撃的)→FWと4つのポジションに分けて表記されることが一般的です。

攻撃的なWMフォーメーション

 フォーメーションは時代によって大きく変化してきました。1930年代から50年代前半までは3-2-5が流行しました。3人のDFと2人のMF、そして5人のFWを配置するシステムです。FWの5人は、やや下がりに目に2人、最前線に3人がアルファベットの「W」の文字のように配置され、中盤2人とDF3人は「M」の形でポジションを取ったため、「WMフォーメーション」と呼ばれました。

 より攻撃的なこのフォーメーションは、当時のヨーロッパで無敵を誇ったハンガリー代表などが採用していました。

進化した4-2-4フォーメーション

 しかし、まもなくしてこの「WMフォーメーション」に対抗するフォーメーションが誕生します。それが4-2-4です。MFの2人が攻撃にも守備にも関与することで、攻撃に6人、守備にも6人を割くことができ、守備が5人、攻撃が5人の「WMフォーメーション」を上回ることができました。ワールドカップでも1958年のスウェーデン大会を制したブラジルがこのフォーメーションで戦いました。

ゾーンディフェンスに最適な4-4-2フォーメーション

 その後、FWの数を1枚減らし、4-2-4よりもバランスに優れた4-3-3が台頭。さらに1980年代に入ると、中盤を重視した4-4-2システムが主流となります。4-4-2はDFラインと中盤に4人ずつを並べた守備ブロックを形成でき、ゾーンディフェンスに適したフォーメーションでした。

現代サッカーのトレンドフォーメーション

 そして中央から攻めることが難しくなった現代サッカーでは、サイド攻撃を重視した4-2-3-1や4-3-3がトレンドとなっています。

 また守備重視の戦い方を選択するチームは、センターバックを3枚配置する3-4-2-1、3-3-2-2といったフォーメーションも増えています。

サッカーのポジションと呼び方 FWやボランチなど細かく解説!
サッカーのポジションと呼び方 FWやボランチなど細かく解説!
FIFA ワールドカップ 2022 完全ガイド

▲ページトップへ戻る▲

フォーメーション①4-2-3-1

 現代サッカーで最もポピュラーなのが4-2-3-1です。日本代表も採用するこのフォーメーションは、今回のワールドカップでは日本のほかに、ブラジル、ドイツ、スイスなどのベースの形となっています。

 守備的MF(ボランチ)が2人、サイドアタッカーが2人、トップ下が1人のこのシステムは、何よりサイド攻撃を重視したフォーメーションです。サイドバックとサイドアタッカーが連動して攻撃に厚みをもたらし、そこからのクロスや斜めのスルーパスに対し、1トップ、トップ下、あるいはボランチの選手がエリア内まで侵入して、フィニッシュワークをこなします。

 カギを握るのはトップ下の選手で、1人しかいないFWを孤立させないように上手くサポートをしながら、自らはパスの出し手としても、受け手としても、機能する必要があります。

 一方でボランチが2枚のため守備のタスクもこなしやすく、攻撃の起点も多く作ることができます。サイドを中心に攻めながら、中央の守備の安定性も備えた攻守のバランスに優れたフォーメーションと言えます。

サッカー日本代表スタメン予想【ワールドカップ2022】
サッカー日本代表スタメン予想【ワールドカップ2022】
FIFA ワールドカップ 2022 完全ガイド

▲ページトップへ戻る▲

フォーメーション②4-3-3

 4-2-3-1よりも攻撃的なのが4-3-3です。中盤は守備的MF(アンカー)が1人、その前に攻撃的MF(インサイドハーフ)を2人配置。前線には4-2-3-1のサイドハーフよりも、さらに高い位置を取るウイングを両サイドに置き、センターフォワードとともにゴールに迫っていきます。

 4-3-3の特性は、ポゼッションスタイルに合っていること。とりわけ敵陣ではパス回しに適した距離感を生み出しやすくなる形です。今回のワールドカップ2022出場国の中では、優れたパスサッカーを展開するスペインを始め、メキシコ、クロアチアなどがこのフォーメーションを採用しています。

 4-3-3でカギを握るのがアンカーのポジション。最終ラインからボールを引き出し、攻撃の起点を担うとともに、守備時には1人で広いエリアをカバーすることが必要です。またインサイドハーフの2人も、攻守両面の能力が求められます。1トップの選手を上手くサポートしながら、ライン間でボールを引き出し、決定的なパスを出すとともに、フィニッシュワークにも関与します。また相手にボールが渡った際には前線からプレスを仕掛け、狙われやすいアンカーの両脇のスペースを埋める役割も担います。攻守のバランス感覚が大事となるポジションです。

 ウイングもこのフォーメーションでは重要となってきます。サイドバックやインサイドハーフと連動しながら、サイドの高い位置で起点となり、1人で局面を打開する突破力も求められます。逆サイドにボールがある際には、中央のエリアに侵入してストライカーとしての仕事もこなす必要があります。

 攻撃性の強いこのフォーメーションは、一方で前の人数が多いために、ボールを失ってもすぐさま奪い返す“即時奪回”を実現しやすく、相手を自陣に押し込むことも可能となります。

 ただし、ボールを支配するためには技術に優れた選手が多く必要で、アンカーの脇を突かれやすく、ウイングとサイドバックの距離も遠いため、サイドに起点を作られやすい弱点もあります。その意味では、リスクの大きいフォーメーションとも言えます。

センターバック、サイドバック、ボランチ… 守備的ポジションのオーガナイザーで日本代表のディフェンスリーダー・冨安健洋
センターバック、サイドバック、ボランチ… 守備的ポジションのオーガナイザーで日本代表のディフェンスリーダー・冨安健洋
FIFA ワールドカップ 2022 完全ガイド

▲ページトップへ戻る▲

フォーメーション③4-4-2

 4-4-2はDF4人、中盤4人、FW2人を配置した最もベーシックなフォーメーションで、一昔前はこの形が主流でした。

 4-4-2は中盤の形がボックス型、フラット型、ダイヤモンド型に細分化できますが、ボックス型を採用するチームが最も多いです。

 今回のワールドカップで4-4-2(ボックス型)を主戦フォーメーションとするのは、アルゼンチン、コスタリカ、ウルグアイなど。ポゼッション型にもカウンター型にも合わせることのできる形です。

 守備的MFと攻撃的MFを2人ずつボックス型に配置するこのフォーメーションは、それぞれの役割が明確となり、中盤の構成力を発揮しやすい形と言えます。前後にパスを回しやすく、スペースも広く確保されるため、選手の特性を生かして攻撃の多様性をもたらすこともできます。

 また前線にFWが2人いるため、ハイプレスからのショートカウンターや、最終ラインから一発のパスで抜け出すロングカウンターを仕掛けることもできます。2人のFWの組み合わせも重要で、一方はテクニックやスピードに優れた選手を配置し、もう一方は強さと高さを備え前線で起点となるような選手を起用することで、よりバリエーションのある攻撃を生み出すことができます。

 また守備では、最終ラインの前に守備的MFが2人いるため、ブロックを形成しやすく、縦ラインをコンパクトに保てば、中央のスペースをしっかりと埋めることもできます。

 ただし、その作業を怠ると縦に間延びしやすくなる形でもあるため、中盤の選手には常に適した距離感を保つ運動量や判断力が必要となってきます。攻撃時にもポジショニングは重要で、縦のラインで選手が重なってしまうと、ボールが前に進みづらくなるデメリットも生じてしまいます。中盤の4人の能力が重要なフォーメーションと言えるでしょう。

 中盤の形がフラットの場合はサイド攻撃を仕掛けやすく、ダイヤモンド型の場合は守備的MFが1人で、サイドとトップ下のポジションが生まれるため、より攻撃的な戦い方が可能となります。

カタールW杯で日本代表の脅威となるか 偽9番やウイングでスペイン代表の攻撃を牽引するフェラン・トーレス
カタールW杯で日本代表の脅威となるか 偽9番やウイングでスペイン代表の攻撃を牽引するフェラン・トーレス
FIFA ワールドカップ 2022 完全ガイド

▲ページトップへ戻る▲

フォーメーション④3-4-2-1

 センターバックを3人配置する3-4-2-1は、守備の安定をもたらせる形と言えます。中盤には2人の守備的MFとウイングバックを配置、さらに1トップの下に2人のトップ下(シャドー)を置く形で、今回のワールドカップ出場国では、オランダ、イングラド、ベルギー、ポーランドといった欧州の強豪国が採用しています。

 このシステムでキーとなるのは、左右のセンターバックと、ウイングバックです。このポジションの選手がどう動くかによって、守備的にも、攻撃的にも戦うことができます。

 左右のセンターバックは、守備ではサイドのスペースをケアしながら中をしっかりと固め、攻撃時にはサイドバックのようにサイドの高い位置までポジションを取り、ウイングバックの選手をサポートします。

 一方ウイングバックの選手は攻撃時にはウイングのように高い位置まで攻め上がり、クロスを上げたり、逆サイドからのクロスを中で合わせる仕事をこなします。守備時には最終ラインにまで戻って、3バックとともに5バックを形成し、サイドのスペースを埋める役割を担います。90分に渡ってライン際を上下動することになるため、かなりの運動量が求められるポジションです。

 2ボランチと2シャドーは、主に中央にポジションを取り、良い距離感を保ちながらポゼッションを高める仕事をこなします。ボランチの選手は攻撃時に最終ラインにまで降り、ビルドアップの役割を担うこともあります。

 シャドーの選手は出し手としての能力だけではなく、受け手として起点となったり、得点力も求められます。また守備時にはサイドハーフのようなポジションを取り、相手のサイド攻撃をケアします。

 攻撃時と守備時で立ち位置が異なるポジションが多く、基本形は3-4-2-1ですが、攻撃時には4-1-5のような形となり、守備時には5-4-1のような形となるため、可変システムと言われることもあります。

 このフォーメーションを機能させるために求められるのは、判断力と切り替えのスピードです。特に攻撃から守備の切り替えが遅くなると、サイドのスペースを狙われやすくなり、ピンチに直結する可能性が高くなります。素早く切り替え、正しいポジションを取ることができれば相手に隙を与えない戦いが可能となります。

 3バックは同じですが、前線の形を2トップ+1トップ下とした3-4-1-2、ボランチの数を1枚削り、2トップ+2シャドーとした3-3-2-2とするフォーメーションもあり、前者はベンゼマ選手、エムバペ選手と2人の強力なストライカーを擁するフランス、後者はウェールズなどが主戦フォーメーションとしています。

最終ラインの全てのポジションでプレー可能 スペイン代表を支える守備のユーティリティプレーヤー、セサル・アスピリクエタ
最終ラインの全てのポジションでプレー可能 スペイン代表を支える守備のユーティリティプレーヤー、セサル・アスピリクエタ
FIFA ワールドカップ 2022 完全ガイド

▲ページトップへ戻る▲

サッカーのフォーメーションのまとめ

 フォーメーションによってチームのスタイルは大きく変わってきます。攻撃的なのか、守備的なのか。ポゼッション型なのか、カウンター型なのか。どこにスペースが生まれやすくなるのかなど、その形や立ち位置を見れば、チームの狙いが浮かび上がってきます。試合が始まったら、それぞれのチームのフォーメーションを確認してみてください。試合観戦がさらに楽しくなるはずです。

GKは面白い!日本の守護神・権田×影山優佳 (スポーツ) 
GKは面白い!日本の守護神・権田×影山優佳 (スポーツ) 
ドイツ vs 日本|グループE|FIFA ワールドカップ 2022
ドイツ vs 日本|グループE|FIFA ワールドカップ 2022
ウイングからサイドバックへのコンバートで世界的名選手の一人に バルセロナとスペイン代表の左サイドを支えるジョルディ・アルバ
ウイングからサイドバックへのコンバートで世界的名選手の一人に バルセロナとスペイン代表の左サイドを支えるジョルディ・アルバ
FIFA ワールドカップ 2022 完全ガイド