将棋の囲碁将棋チャンネル 第72期ALSOK杯王将戦七番勝負第4局が2月9・10日の両日、東京都立川市の「SORANO HOTEL」で行われ、挑戦者の羽生善治九段が藤井聡太王将(竜王、王位、叡王、棋聖、20)に勝利し、2勝2敗のタイに追いついた。将棋界のスーパースター同士が激突する大注目のシリーズは大混戦に。次戦、第5局は2月25・26日、島根県大田市の「さんべ荘」で指される。

【映像】羽生九段が藤井王将に勝利した王将戦第4局

 挑戦者の羽生九段が、藤井王将得意の「角換わり」の一局で大きな勝利を挙げた。開幕局から一手損角換わり、相掛かり、雁木と様々な戦型で挑んでいる羽生九段が、2度目の先手番となる第4局で選んだのは角換わり腰掛け銀。直近に行われた棋王戦五番勝負でもこの戦型で藤井王将が快勝を飾っていただけに、真っ向勝負で飛び込んだ羽生九段の構想に大きな注目が集まっていた。

 細かな駆け引きから、藤井王将が6筋の歩を進めたところで羽生九段が4筋に桂馬を跳ねて前例を離れると、エンジン全開で攻撃を開始。中盤戦を飛ばすように、一気に攻め合いへと発展した。後手への軽快な桂の成り捨てに対し、藤井王将は2時間24分に及ぶ大長考に沈むことに。そのまま封じ手の定刻を迎えることになった。

 激しい攻め合いへの手順が予想されていたが、藤井王将が封じ手で選んだのは受けの一手。先手からの猛攻を呼び込むだけに意外な一着と見られていたが、羽生九段はより一層の追撃を加えてリードを拡大させていった。猛攻に対し藤井王将は全力で受けの応手をひねり出したが、その差は埋まらない。藤井王将の追走を一気に突き放した羽生九段が、大きな2勝目を手にした。

 羽生九段は勝因について「調べてみないとわからない」と話したものの、「負けてしまうとカド番になってしまうので、タイに戻せて良かったなと思います」とホッとした表情。先手番できっちりと勝ち切り、経験力を力強さを見せつけていた。

 一方、先に2勝目を手にしながらも並ばれる形となった藤井王将は「封じ手長考したところで間違えてしまった。本局は早い段階でバランスを崩してしまったの残念」と悔しそうな表情を見せていた。

 この結果、シリーズは2勝2敗に。初防衛を目指す藤井王将と、タイトル通算100期を目指す羽生九段の対戦は、大混戦へもつれ込むことになった。32歳差のシリーズを制するのはどちらか。終盤戦に突入する世紀のタイトル戦からますます目が離せない。次戦、第5局は約2週間後の2月25・26日の両日、島根県大田市の「さんべ荘」で行われる。
(写真提供:日本将棋連盟)

【映像】羽生九段が藤井王将に勝利した王将戦第4局
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【中継】第72期ALSOK杯王将戦七番勝負 第四局2日目 藤井聡太王将 対 羽生善治九段
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