チーム深浦、ストレート負けで初優勝ならず 深浦康市九段「これで終わりではない」佐々木大地七段「さらに成長を」/将棋・ABEMA師弟トーナメント
【映像】悔しさをにじませる深浦・佐々木師弟

 長崎の熱き師弟は、頂点まであと一歩のところで苦杯をなめた。8組の師弟により“最強の師弟”を決める超早指し戦「ABEMA師弟トーナメント2022」の本戦トーナメント決勝、チーム深浦 対 チーム木村が2月11日に放送された。激戦をくぐり抜けてきた両チームの対戦だったが、チーム深浦はスコア0-3のストレート負け。師匠・深浦康市九段(50)は「これで終わりではない」、弟子・佐々木大地七段(27)は「さらに成長したい」と前を向いた。

【映像】悔しさをにじませる深浦・佐々木師弟

 行くと決めた時の攻めの鋭さ、絶対に先に音を上げないような粘り強さを兼ね備えた深浦・佐々木の師弟だったが、決勝は流れを引き寄せることができず、よもやのストレート負けとなった。第1局、深浦九段は高野智史六段(29)と終盤まで形勢が二転三転するような大熱戦を演じ、最終的には相入玉にまでもつれ込んだが、持将棋にするための点数が足らず投了した。粘り合い、ねじり合いなら普段は深浦九段の土俵だが、チーム木村も辛抱強さには定評がある師弟。初戦を落としたことで、勢いを奪われる結果になった。

 なんとか立て直したい第2局だったが、佐々木七段が後手番から仕掛けを狙ったものの「千駄ヶ谷の受け師」の異名を持つ木村一基九段(49)に痛いタイミングでカウンターを食らった。慌てたのか、佐々木七段の対応にもミスが生じ、形勢は急速に木村九段に傾き、81手で完敗。あっという間にカド番に追い込まれた。

 優勝のためには3連勝しかなくなったチーム深浦は、第3局に深浦九段が登場。経験豊富な師匠のたくましさにかけたが、チームの連勝でさらに勢いづいていた高野六段は、またものびのび指してきた。相雁木の将棋になると、難解な中盤を経由して、激戦の終盤に。形勢不明のまま寄せ合いにもつれ込んだが、166手の末に深浦九段が投了、チーム敗退が決まった。

 チーム深浦は、チーム木村と前回大会を含めて実に4回目の対戦だったが、過去3回は勝ち、今回初めて敗れた。一番大事な決勝の舞台でリベンジを果たされたことに、試合後深浦九段は「チャンスのある将棋を活かせなかったのが残念。師匠のいいところを見せたかった」と悔やめば、佐々木七段も「師匠が苦しい時に自分が力になれなかった。内容も消化不良でした」とうつむいた。ただ逆境を跳ね返すという言葉は、深浦・佐々木師弟にはとてもよく似合う。深浦九段は「これで終わりじゃないんで。第3回大会、期待しています」と、力強い眼差しで先を見据えた。歓喜の祝杯とはならなかったが、悔しい敗戦を力に変えられるこの2人は、もっと強くなる。

◆ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで、チームの対戦は予選、本戦通じて全て3本先取の5本勝負で行われる。第4局までは、どちらか一方の棋士が3局目を指すことはできない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

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