「そんな企業どこにあるの」年収2000万円以上&修士号あれば永住権…外国人材“呼び水”新制度にインド出身者から厳しい声
【映像】“高収入&学歴なら永住権” 外国人材は来るのか?
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 先週、政府が発表したのは高い能力を持つ外国人材の獲得を狙う新制度。その柱は2つある。

 1つ目は特別高度人材制度だ。対象は年収2000万円以上の研究者と技術者で、修士号を持っているもしくは職歴が10年以上の外国人だ。また、経営者の場合は職歴5年以上で年収4000万円以上となる。この条件をクリアしていれば、滞在1年で永住権の取得が可能になる。

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 そして2つ目が未来創造人材制度だ。世界上位の大学を卒業した外国人が対象で、日本で就職活動する場合、特別に最長2年の滞在が認められる。その期間中の就労も可能で、将来有望な外国人を早めに呼び込む作戦だ。

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 この制度にTwitterでは「日本の永住権ってそんなに魅力的かな?」「良い大学を出た外国人が果たして日本を選ぶか?」「外国人材確保に繋がるとは思えない…」など、さまざまな声が上がっている。

 はたして優秀な外国人を集める呼び水となるのか。ニュース番組「ABEMA Prime」では、議論を行った。

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 政府が打ち出した施策について、グローバル採用支援を行うフォースバレー・コンシェルジュ株式会社CEOの柴崎洋平氏は「ほとんど無意味だ」と話す。

「日本が世界の優秀な人材を受け入れようとしているんだというPRは褒めたい。ただ、ほとんどこれは世界に伝わっていない。世界上位の大学というと、ハーバード大学やスタンフォード大学、ケンブリッジ大学などだ。初任給は、最低でも50万円程度になる。そんな人材が日本に来て、2年間就活して、初任給が20万〜30万円で始まる会社で働くか。そんなわけない」

 その上で、柴崎氏は「アジアを向いた政策にしないと意味がない」と指摘する。

「今、日本で働いて暮らされている外国人の8~9割がアジア人だ。年収2000万円以上のサラリーマン、4000万円以上の経営者で、外国人が何人増えるのか。それよりも日本中がもっと給料を上げて世界にアピールする、外国人が住みやすくするために環境を整えるほうがはるかに大事だ」

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 柴崎氏は実際に高度人材を招く立場にいる。何か感じていることはあるか。

「先進国で一番、日本のビザは緩い。外国人材は、10年前は60万人だったが、今は180万人まで増えている。何もしなくても、高度人材からワーカークラスまでいる。東南アジアや南アジアなど、日本より経済水準が低い国から人材がまだいくらでも来てくれる。そういった国の優秀な方々にフォーカスを当てて、来てもらったほうがいい。政府は『欧米から来てくれないかな』と考えているようだが、アメリカ人のトップ大学の卒業生は、初任給50万円はもらうから、ナンセンスだ」

 東南アジアや南アジアの人々にとって日本は魅力的なのか。

「かなり魅力的だ。アメリカ、イギリス、オーストラリアは人気があるが、直接就職は新卒の学生にほぼ不可能だ。そういう意味で、次の最も行きたい国が日本になる」

 2001年にIT人材としてインドから来日し、江戸川区議を務め、現在は茨城県立土浦第一高等学校で副校長を務めているプラニク・ヨゲンドラ氏も「柴崎さんの言う通りだ」とうなずく。

「まず、外国人材に年収2000万円、4000万円を出すそんな企業が日本のどこにあるのか。もう一つは、永住権はコロナ禍で“株価”が完全に下がっている。日本は永住権を持っている人たちの入国を認めなかった。今は、みんなが日本の永住権に興味を持ってもらうところから始めないといけない」

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 自身の息子が、イギリスにある世界トップの100位以内の大学で学んでいるヨゲンドラ氏。大学入学後、息子の考え方に変化があったという。

「息子もほぼ生まれたときから日本で育って、日本が大好きだ。だが、イギリスに行って世界トップ100に入る大学に入学すると、考え方がまるごと変わった。対人能力もだ。どういうコミュニティ・社会が自分を求めているのか。彼の中で、日本で働くことに疑問が出ている。そもそも、起業準備でもないのに、就活に2年使う意味もわからない。外国人材をバカにしている気がする」

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 ヨゲンドラ氏が実際に日本で住んでいる中で感じていることは何か。

「真面目な話、やっぱり日本はプロセス主義の国だ。きちんと順序があって物事が進むところに私も惚れた。ただ、今日のこの政府の発表を見ていると、そのプロセスが見えない。誰からどういう話を聞いて、どのような計算に基づいてこの結論を出したのか。世界に競争相手がいなければ、このスピードでいいが、隣の中国や韓国はもっと技術が進んでいく。日本がテレビやスマホを作れない時代に来ているのに、ズルズルとやっていていいのか」

 その上で、ヨゲンドラ氏は「ちゃんと当事者の意見を聞いて、当事者の状況を見て正しく判断することが大事だ。もっとスピードアップしてほしいと思う」と訴えた。(「ABEMA Prime」より)

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