急激な人口増加による、世界的な食料不足が懸念される中、国連の機関も普及に力を入れている「昆虫食」。しかし、食用コオロギなどは「見た目が気になる」という人も多いだろう。そんななか、見た目も良くて、栄養価も高い、さらには環境にも配慮されている、そんな新しい昆虫食に注目が集まっている。
【映像】コオロギの上位互換? クセになる「まゆ刺し」の食感・風味とは?
台東区・西浅草にある「TAKE-NOKO(たけのこ)」。築60年の古民家を改装した店内に、ところ狭しと昆虫がいる全国でも珍しい昆虫食専門のカフェだ。蚕をふんだんに使ったトマトクリームパスタなど、昆虫を使った料理やドリンクを数多く提供している。
そんなTAKE-NOKOで去年の10月から提供されているのが、蚕の繭の刺身「まゆ刺し」だ。蚕の繭を茹でて冷水でしめた もので、生の刺身ではないものの、透明感や歯ごたえはまさに刺身。そのまま食べるもよし。小ねぎやわさびとともに、しょう油を付けて食べるのもよし。繭のイメージからは想像できない食感と風味ということで、提供開始から瞬く間にSNSで大きな話題となった。
店長の三浦みち子さんは「食べて頂いている繭は“セリシン”という成分が豊富に入っていて、一般的な繭とは違う繭になっています。『思ったよりも美味しかった』と言って頂け、リピーターもいらっしゃって嬉しい限りです」と話している。
『ABEMAヒルズ』に出演したサイエンスコミュニケーターの佐伯恵太氏は、自身もまゆ刺しのリピーターだと明かし、新しい昆虫食として期待を寄せる。
「昆虫食というと、食用コオロギなどが有名だが、その見た目などから『本当に美味しいのか』などの拒否感がある方も多いだろう。一方で、蜂蜜のように蜂そのものを食べるわけではないものもある。まゆ刺しも蚕由来のものではあるが、蚕そのものではない。“普通の食との中間”にあるようなものではないか。昆虫そのものを食べるわけではないという点で非常にとっつきやすい。昆虫食の入門編としてもいいのではないか」
店舗を運営する「TAKEO」は2014年に創業。オンラインでの昆虫食販売や「TAKE-NOKO」の運営など、昆虫食の普及に精力的に取り組んできた。そんなTAKEOが「まゆ刺し」を開発したきっかけは、“使い道が無くなった繭”を農家から譲り受けたことからだという。
「行き先がない繭を購入させて頂いて提供している。通常の繭だと、お湯で加熱しても糸になるだけで難しいが、まゆ刺しは加熱すると柔らかくなりお刺身のようになる」
初めて食べた時には、その食感と美味しさに驚いたと話す三浦さん。まゆ刺しには良質なたんぱく質も多く含まれているという。珍しい品種のため、数に限りがあるそうで三浦さんも「在庫が無くなるまで楽しんでもらえたら」と述べ、昆虫食についての考えを明かす。
「アレルギーリスクもあるので、無理して食べるものでもない。まず、自分に合うか、ほかの食材同様に食べて頂きたい」
(『ABEMAヒルズ』より)
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