昨年10月、三階級制覇を成し遂げ、新生K-1の顔であり続けた武尊がK-1およびK-1 GYM SAGAMI-ONO KRESTとの契約満了を経てフリーとなった。年が明け、3月12日に東京・国立代々木競技場 第一体育館で行われるK-1年間最大のビッグマッチ「K-1 WORLD GP 2023 ~K'FESTA.6~」に “K-1 NEXT”の有力候補の一人である玖村将史(K-1ジム五反田チームキングス)が登場する。相手は、現・RISEバンタム級王者の鈴木真彦。『THE MATCH 2022』以来となるRISEとK-1の対抗戦で“負けることが許されない”一戦に臨む玖村にこの戦い、さらに2023年にかける思いを聞いた。

― 昨年、武尊選手が抜けて“K-1 NEXT”・K-1の新時代を担う選手の一人としてより期待と注目が集まる2023年。その初となる「K'FESTA.6」での対戦相手がRISEバンタム級王者の鈴木真彦選手。“K-1 NEXT”をファンに印象づけ、「K-1最高」を改めて訴えるためにも強いインパクトを残したい戦いです。かつ“対抗戦”でもあるため負けも許されない重要な一戦といえます。心境はいかがですか。

玖村 今年は「K-1の顔になる」と決めているので、2023年の一発目の試合としては、もってこいの試合です。K‘FESTAというK-1の舞台で他団体のRISE選手と戦う。今までにないことでもあります。鈴木選手はRISEのチャンピオンとしてRISEを代表してリングに上がってくると思うので、そこで勝ってK-1の強さを証明できれば、おのずと“K-1の顔”になると思うので、今回は今まで以上にK-1を背負って、そのうえで勝ちたいと思っています。

― 昨年、K-1を離れた武尊選手はリング上で「K-1最高」と言い続けました。K-1選手に共通する団体に対する強い思いというのは、どのようなところから出てくるものですか。

玖村 K-1というものは、僕たちからしたら「子どもがプロ野球選手になりたい」と思うのと同じくらい小さなころから憧れていたもの。その思いを自分たちで叶えたいという思いもありますし、ファンも「K-1が一番」と思ってくれている人が多い。だからこそ、自分のため、ファンのためにも、そのことを証明したいんです。にもかかわらず「RISEの方が強い」となってしまったら、絶対によくない。なおさら負けることはできません。

 僕はK-1 MAX時代の魔裟斗さん、KIDさん、ブアカーオさんを見て、憧れてきました。ヘビー級ではアーネスト・ホーストさんやピーター・アーツさんなども。やはり、立ち技の格闘技はK-1なんです。この先、K-1が100年続いていったら、その時代と比べられるはずです。その時代に負けない新しい時代を、僕たちが創っていかなければと思っています。今回の対抗戦は、その第一歩です。

― 「100年続くK-1」を背負う存在となるとプレッシャーも大きくなるはずです。昨年、12月のK-1 WORLD GPでは、ヨーロッパ王者を相手に見事なKO勝利。よりアグレッシブなファイトスタイルになった印象を受けますが、「K-1を背負う」ことを意識するようになり、気持ちや戦い方に変化は?

玖村 「強くなるためには?」を考え、追及すると、必然的に倒しに行くスタイルになります。また、K-1とはそういうものです。巧く戦って判定勝ち、たまに倒す。そんな戦い方ではダメ。倒すなかに技術も必要です。戦いの大前提は『相手を倒す』ことだと思っているので、おのずと倒すスタイルになっているのではと。そのなかでも、前に行くだけではなくて、テクニックもしっかり見せて、新しい形のK-1を体現していきたいと思っています。

― 昨年2月のK-1 WORLD GPでは、第3代スーパー・バンタム級王座決定トーナメントで金子晃大選手に惜敗。鈴木選手は、その金子選手を昨年6月の『THE MATCH 2022』で撃破しています。先月10日に行われた会見で玖村選手は「打ち合いになれば、カウンターなどの技術は自分が上」と自信をのぞかせていましたね。

玖村 二人とも地元が大阪で小さい頃から同じ大会に出ていたり、プロデビューした団体が同じだったりで「いつかは戦うだろうな」と思っていました。当時と比較すると、細かい技術はもちろん高くなっていると思いますが、基本的な部分は変わっていない。攻撃力は確かにあるけど、ディフェンス面での穴も多い。だからこそ、鈴木選手がどんどん前に出てきてくれた方が、スキを突ける。ただ今回は、鈴木選手がガツガツ来れない試合をしようと思っています。いつもの鈴木選手の動きを封じて「何もさせないで勝つ」というイメージ。それが理想です。

―「いつか戦うだろう」という相手との対戦を聞かされた時、真っ先に頭に浮かんだのはどんな思いでしたか。

玖村 初めて聞いたのは会見の2、3週間前ぐらいですかね。タイトルマッチよりも気合が入るというか…「おぉ、そうきたか」という感じです(笑)。タイトルマッチなら「よし、やってやるか」という感じなんですけどね。対抗戦ですし、相手もトップ選手なので、武者震いがしました。

― 鈴木選手との勝敗の行方も気になりますが、ファンの中には金子選手との再戦を望む声も多く聞かれます。そのことについては。

玖村 それはもちろん2023年に“やるべき”こと。今年は55キロのチャンピオンになると決めています。だからこそ、鈴木選手に勝てば、チャンピオンも逃げることはできない。チャンピオンを追い詰め、逃げ道を絶つ意味でも、勝たなければいけない一戦になります。

― 「10年後に振り返ったときに『玖村将史が強かった』と言わる格闘家になりたい」と話されていますね。K-1 MAX時代は魔裟斗さん、新生K-1時代は武尊選手というアイコンがいました。“K-1 NEXT”としてK-1を背負い、10年後に「玖村将史は強かった』と言われる存在になるために必要なことは何だと思いますか。

玖村 強さだけではなく魅せることも必要。試合内容はもちろんですが、数多くのトップ選手の中で“K-1の顔”になるということは、すべてを兼ね備える必要があります。

 また「100年続くK-1」と考えた時に、僕たちがそうだったように、僕たちを見て格闘技を始める子どもたちが、自分たち以上のものを創っていく。そうして、どんどん超えていかないと時代は回って行きません。だからこそ、僕たちも今まで以上のものを創って、下の世代に見せていく必要がある。だから次の世代の目標になる必要があると思っています。

― 2023年の目標達成の先に見据える近い将来。具体的なイメージはありますか。

 『THE MATCH』をもう一回、東京ドームで。そして、僕がメインを張って戦うことが目標です。今回の対抗戦の結果が次の『THE MATCH』開催の有無に影響してくると思うので、あの熱狂が1回で終わらないように。お互いに「もっと観たい」と思える対抗戦にしなければいけないと思っています。

【視聴する】K-1 WORLD GP 2023 ~K’FESTA.6~ | 新しい未来のテレビ | ABEMA
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