「都市に木を増やし、暑さによる死者を減らす」。今年1月、医学雑誌『ランセット』に掲載された研究内容に注目が寄せられている。
【映像】温暖化から地球を守りたい 研究者が語る「植物の圧倒的な力」
バルセロナ・グローバル・ヘルス研究所などの国際研究チームが、ヨーロッパ93都市の2015年夏の死者数とヒートアイランド現象を調査したところ、気温上昇に関連する死者数は6700人だったという。しかし、都市の樹木被覆率を30%に増やした場合、平均気温は0.4度下がり2644人(約39.5%)の死亡を防げたと推定された。ちなみに、10万人あたりの死者数が32人と最多だったルーマニアのクルジュ・ナポカの樹木被覆率は7%とのこと。
死者が約4割も減るという推定について、地球温暖化を止める研究を行っている機関CRRA(シーラ:一般社団法人炭素回収技術研究機構)機構長の村木風海(かずみ)氏は次のように話す。
「温暖化と同じくらい深刻なのがヒートアイランド現象だ。“五大医学誌”の1つとして影響力の大きい『ランセット』に取り上げられたということは、医学界でもインパクトの大きい研究ということだろう。推定結果についても、スーパーコンピューターを使った精度の高い予測をしていて信頼性も高いものではないかと思う」
また、村木氏は植物がヒートアイランド現象に効く理由を次のように解説する。
「植物には、根から水を吸い上げて葉の表面から放出する働きがある。打ち水などと同じで、植物が水を空気中に放出するとその水を蒸発させるために熱が奪われて、周りの気温は下がる。ただ、水を通さないコンクリートやアスファルトが増えると温度が下がる効果がなくなってしまうので、結果的に気温上昇につながる。さらに、コンクリートは熱しやすい。陽射しを受けて50度ほどになったアスファルトからの照り返しなど“熱の放射”もあるだろう。
日本では、戦後から急にヒートアイランド現象が始まったと言われていて、コンクリートなど現代的な建物が増えた頃から急激に温度が上がっているという研究結果も出ている」
今後、暑い季節になっていく日本。どのような対策をすればいいのだろうか。
「都市部を中心とした壁面緑化や屋上に“緑”を植えるなどだ。そのほかにはエアコンの設定温度を上げるなども効果がある。建物の中を冷やすと、その分室外機などを通じて外に熱い空気が流れていくので、涼めば涼むほど外はきつい環境になってしまう。だからこそ、エアコンを1度高く設定するだけでもヒートアイランド現象の影響を和らげることができるだろう」
(『ABEMAヒルズ』より)
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