
【WBC・1次ラウンド プールB】オーストラリア1-7日本代表(3月12日/東京ドーム)
日本の野球ファンよ、これが本物の「SHO TIME」だ。エンゼルス・大谷翔平投手が「3番・DH」でスタメン出場し、1回無死一、二塁の第1打席でライト席の上部にある自分の顔が入った看板を直撃する140メートルの特大先制3ランを放った。応援の合間になった心地よい打撃音が球場に響くと、スタンドは1秒も経過しないうちに大歓声の渦。日本ハム時代にも大きなホームランを放ってきた大谷だが、これぞメジャーのファンを大興奮へといざなったSHO TIMEだとばかりに打ち放ってみせた。
その音が大きいからなのか、それとも打つ瞬間を見たくて思わず静まるのか。球場全体のファンから応援歌による声援があっても、大谷の打球音だけはしっかりと聞こえる。それだけクリアで大きな音だった。木製バットらしい「カン」とも、少し金属に近い「カシャ」とも聞こえるものだったが、直後にスタンド向かって消し飛んでいく打球は、説得力しかない。この日の大谷は、打った瞬間にゆっくり歩く「確信歩き」を越えて、しばし打席内で行方を見守る「確信止まり」。音、打球、仕草。このコンボを瞬時に確認したファンたちも、条件反射的に声援をあげ、一気に球場内の室温も上がったことだろ。
メジャーの野球中継では高画質のカメラを用いて、まさに映像作品、映画のような中継を行うことも多いが、今大会で侍ジャパンが3大会ぶりの優勝を果たすことがあれば、その激闘ぶりは映像として野球史に残されることになる。クライマックスは優勝シーンだろうが、もちろん大谷の特大弾もそれに次ぐ極上のシーンとして、ファンは何度も繰り返し見ることだろう。
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