解説棋士も「クラクラしますね」と降参モード 絶対に攻撃を通さない“1人駒柱”に注目「確かにすごい」「こんな配置見たことない」/将棋・女流ABEMAトーナメント
【映像】超堅い「1人駒柱」

 9×9マスの将棋盤を分断するかのごとく、見たことのないような“1人駒柱”が出現した。女流棋士3人1組で戦う超早指し戦「女流ABEMAトーナメント2023」の1回戦第1試合が3月11日に放送された。チーム西山とチーム伊藤の戦いは、第1局から白熱の展開。チーム西山・鈴木環那女流三段(35)が攻め込むと、受け巧者のチーム伊藤・伊藤沙恵女流三段(29)が耐える展開になった。鈴木女流三段が二枚飛車で猛攻を仕掛けたが、伊藤女流三段はこれを防ぐように4筋に次々に駒を投入。自分の駒だけで6枚も縦に並べる珍しい形が出来上がった。

【映像】超堅い「1人駒柱」

 解説棋士もなかなか言葉が見つからない。そんな盤面だ。白熱の一局を解説していたのは三枚堂達也七段(29)。互角の中盤から、先手番・鈴木女流三段の二枚飛車を見て「二枚飛車は厳しいですよ。夢に出てきます。これは先手が結構優勢に見えます」と、形勢を判断していた。横からの攻撃に備えた美濃囲いではあるのもの、最強の攻撃駒である飛車を2枚使った迫力ある攻めは、普通の囲いでは耐えきれない。ここで粘り強い受けに定評がある伊藤女流三段が指したのは、4筋をどんどん強化するものだった。

 持ち駒としていた金を投入すると、伊藤女流三段から見て1段目から3段目まで3枚の金が並ぶことに。さらに歩を1枚挟んで2枚の角が並び、こちらは反撃に備えて鈴木玉に狙いをつけていた。1段目から6段目まで下から金・金・金・歩・角・角と並んだ様子には、三枚堂七段も「1人駒柱みたいになって、すごい厚み。クラクラしますね。後手は全部の駒を使って受けています」と“投了”気味。伊藤女流三段のチームメイトで幼なじみの香川愛生女流四段(29)も「こういう展開は天下一品ですね」と絶賛していた。

 すると分厚すぎる“1人駒柱”が鈴木女流三段の攻めのスピードを大きく遅らせ、ついには形勢逆転。最終盤には、伊藤玉もかなり追い込まれたが、猛烈な生命力を発揮して逃げ切りに成功し、勝ちを収めてしまった。ファンにも「トーテムポール」「こんな配置見たことない」「確かにすごい」角角歩金金金」と驚かれた“1人駒柱”。絶対に負けないという勝利への執念を象徴するような、印象的な形になった。

◆女流ABEMAトーナメント 第1回大会は個人戦、第2回大会から団体戦になった。第3回の「2023」は4人のリーダーがドラフトで2人ずつ指名、3人1組のチームを結成し、トーナメントで優勝を争う。持ち時間は5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は5本先取の9本勝負で行われ、第5局までに必ず全員が1局以上指さなくてはならない。
ABEMA/将棋チャンネルより)

【映像】集中しまくる鈴木環那女流三段
【映像】集中しまくる鈴木環那女流三段
【映像】超堅い「1人駒柱」
【映像】超堅い「1人駒柱」
【映像】超速将棋だから起きたまさかのハプニング
【映像】超速将棋だから起きたまさかのハプニング
【映像】超速将棋だから起きたまさかのハプニング