「もう乗らないって言ったのに…」免許返納した高齢親が通学路で運転 事故を起こせば家族の責任に?説得にも“逆ギレ”
【映像】家族の説得に“逆ギレ” 免許返納後の父親の言い分
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 免許の自主返納数が増加傾向にあるなか、返納したにも関わらず車を運転し、事故を起こす事例が各地で起きている。

【映像】家族の説得に“逆ギレ” 免許返納後の父親の言い分

 今月5日、福岡県の寺の駐車場で起きた死亡事故。墓参りに来ていた女性を軽自動車で轢いたのは、約1年半前に免許を自主返納していた82歳の男。一方、2019年には同じく免許を自主返納していた当時80歳の男が軽トラックを運転し、自転車に乗る高校生と衝突している。

 なぜ「もう乗らない」と決断したにもかかわらず運転するのだろうか。「父親が免許返納後にも運転をやめてくれない」と話す30代の女性に話を聞いた。

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「自分で『免許返納する』と言って手続きしていた。返納後は乗用車には乗っていないが、家の周りだからということで(トラクターに)乗っている」

 女性の父親は、病気を患い、駐車場で人身事故を起こしかけたことなどもあり免許の自主返納を決意したという。しかし、女性が体調を崩して運転できない状況になると、父親自らがトラクターを動かすように。

「無免許で軽トラを運転しているのがわかったのが半年前くらい。そのときは『絶対に乗らない』と約束してくれた。本人的には『軽トラには乗らない』という意味だったのかと…。トラクターは父親か私しか動かせない。私が体調を崩して寝ているから『仕方ないから自分が乗ってあげている』と言われる」

 あまり速度が出ないトラクターでも、公道を走る場合は免許が必要。さらに、父親が無免許で運転していたのは通学路だという。

「父親も免許返納した時点で自賠責も入っていないし、任意の保険にも入れない状態。もし小学生などを相手に事故を起こした場合、(トラクターの名義人である)私が払うのではないか」

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 いくら言っても聞き入れてもらえず、トラクターの鍵を管理しようにも父親に隠されてできない状況が続いているという。その時その時の作業が生育に直結する繊細な農業という仕事。父親としては「自分がやらなければいけない」という強い思いがあるようだが…。

「この状態で事故を起こしたら自分の孫にまで辛い思いをさせるし、周りの人にも不安を与える。『次勝手に乗ったら警察呼ぶよ』と話したら『勝手に呼べ。お前が働けないのが悪い』と言われた。世間体や評判がいい人なので『(周囲からは)そんなことしてると思えない』と言われるが、本当に話が通じないので困っている」

 女性は家を出たい考えで、夫とともに職を探しているという。

 この問題について、『ABEMAヒルズ』に出演した弁護士の佐藤みのり氏は次のように述べる。

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「無免許運転をしているという“事の重大さ”をまだ理解していない。自主返納した時点で、公道を走れば道交法違反になり罰則もある。『自主返納になかなか応じてくれない』という相談はよくあるが返納後というのはあまり聞かない」

 その背景には家族が相談しにくい事情もありそうだ。免許返納した父親が運転をやめないことに悩む女性「どこかに相談すると、親が事故を起こしてしまった場合、“(無免許運転を)知っていた”ということで家族の責任になるのでは」と懸念している。

 父親に認知症などの症状はないそうだがこうしたケースで『家族の責任』になることはあるのだろうか。

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「事故が起こると、損害賠償責任ということで、相手が怪我をしたり物を壊したりした場合、それを支払う責任が発生する。通常は運転している人が負うものの、今回のケースだと『無免許運転を何度も繰り返していることを知っている』『女性名義の車を提供してしまっている』状況にあると主張できてしまう。家族が監督していなかったから事故が起きたなど“家族の法的責任”を追及される可能性はある」

 女性は父親の運転をとめようと説得しているものの、いわゆる“逆ギレ”されて話にならない状態。どうすればいいのだろうか。

「無免許運転は罪に問われる行為だ。まずは警察などに相談するべきだろう。(まだ事故は起きていないなか)初犯でいきなり逮捕して刑事裁判にかけることは基本的にはない。厳重注意はしてくれるだろう。もしくは間に弁護士などを立てて説得してもらうなども有効ではないか。“実の親子の縁“は法的に切ることはできない。法的な責任が問われる事態になる前にトラクターを処分するなども検討して“運転できない状況を作る”ことが大切だ」

 一方、トラクターを処分すれば、女性は農業を廃業せざる得ない。

 免許返納後の事故について、警察庁に問い合わせたところ発生件数等の統計は取っていないという。

(『ABEMAヒルズ』より)

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